ロハス国連平和大学(UPEACE)学長とのラウンドテーブル「ラテンアメリカ:グローバリゼーション、ガバナビリティー、統合-複雑かつ変容するプロセス」(2016年12月22日(木)開催) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

ロハス国連平和大学(UPEACE)学長とのラウンドテーブル
「ラテンアメリカ:グローバリゼーション、ガバナビリティー、統合-複雑かつ変容するプロセス」(2016年12月22日(木)開催)


【演題】「ラテンアメリカ:グローバリゼーション、ガバナビリティー、統合-複雑かつ変容するプロセス」
【日時】:2016年12月22日(木)10:00~12:00
【場所】:IDBアジア事務所会議室
【講師】:国連平和大学(UPEACE)学長Dr. Francisco Rojas Aravena

 当協会は2016年12月22日、訪日中のロハス国連平和大学(UPEACE)学長を迎え、米州開発銀行(IDB)アジア事務所会議室にてラウンドテーブルを実施した。同学長は、ラテンアメリカ社会科学部(Facultad Latinoamericana de Ciencias Sociales: FLACSO)の事務局長から2013年にUPEACE学長に就任し、ラテンアメリカにおける教育、研究、開発の分野の発展に尽力されており、また、数多くの学術書や論文を発表されている。今回のラウンドテーブルには、米州開発銀行アジア事務所アンヘル氏をはじめ、当協会から細野副会長、伊藤副会長、工藤専務理事、岩見常務理事、小川理事、桜井(悌)理事、田中顧問が参加した。

 冒頭、同学長より“América Latina: Globalización, Gobernabilidad e Integración, Processos complejos y cambiantes”と題する約50分のプレゼンテーション(PPTは協会ホームページ>イベント>配布資料に掲載)があり、続いて参加者との間で活発な質疑応答があった。
同学長は、UPEACE(1980年に常設軍を持たないコスタリカに設立され、日本を含む世界中から百数十名の学生が学ぶ)を紹介した後、世界情勢の変化の影響に始まり、ラテンアメリカ自体の変化に至るまで、広範多岐にわたってラテンアメリカの現状についプレゼンテーションを行った。

 また、ラテンアメリカは現在、「停滞のサイクル」に入ったが、資源価格の低下、欧州経済や中国経済の低迷といった世界的な事象の影響があると共に、ラテンアメリカ地域固有の変化もある。それらは、①民主主義の定着と共に生じた危機の発生(政権が時に左右に大きく振れる)、②米国のラテンアメリカに及ぼす影響の低下、③BRICSの一角としてのブラジルの危機、④中間層が拡大する一方で、格差は拡大し、貧困が増加、④以前と変わらず、犯罪、汚職が他の地域に比べて多い、などである。

 ラテンアメリカの地域統合については、アルゼンチンやブラジルで中道右派の新たな政権の誕生などにより、政治的統合が新たな局面を迎え、経済的統合においては太平洋同盟がその存在感を増し、メルコスールとの連携を強化しようとしているとし、地域統合による共同インフラプロジェクトの実施等が地域にさらなる発展をもたらす、というポジティブな見方が紹介された。

 同学長のプレゼンテーションの後に出席者との意見交換がなされ、日本とラテンアメリカの間での情報交換の更なる努力が必要であり、来年にはUPEACEと当協会にてセミナーのような場を設けることを検討することになった。

【配布資料】
「ラテンアメリカ:グローバリゼーション、ガバナビリティー、統合-複雑かつ変容するプロセス」
ロハス国連平和大学(UPEACE)学長 作成
※配布資料はHPイベント>配布資料に掲載されています。会員限定となりますので、ご了承ください。


会場の様子