【演題】メディアを戦力として考える-ラテンアメリカを念頭に-
【日時】2017年5月18日
【場所】米州開発銀行アジア事務所
【講師】赤阪清隆フォーリン・プレスセンター理事長
【参加者】約30名
公益財団法人フォーリン・プレスセンターの赤阪清隆理事長をお招きし、ラテンアメリカとの関係に焦点を当てて、フォーリン・プレスセンターの活動とそのミッションについてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通りです。
・フォーリン・プレスセンターは1976年に設立、昨年40周年を迎えた。主な業務は外国メディアへの取材サポートと日本情報の提供で、外国特派員協会とは一線を画した活動を行っている。
・在日外国報道機関は2017年1月現在、31ヵ国・地域、179機関、記者数493名。中南米からはブラジルのRED RECORD、TV GLOBO、サンパウロ新聞などから計10名、ペルーのEl Comercioからも1名来ている。スペインとラテンアメリカ全域向けには、スペインのEFEが特派員を置いて情報発信している。
・80年代のバブル期には世界中のメディアが日本に注目し、特に欧米のマスコミはこぞって優秀な記者を配置していた。1983~2008年の中南米メディア受け入れ実績は20ヵ国、延べ115名。関心の高いテーマは、世界情勢と日本、経済再生、地方創生、災害復興と防災、観光、オリンピックなど。個別のテーマとしては、GLOBOが日本の鉄道網を取材し、番組を制作中だ。
・フォーリン・プレスセンターでは、週1~2回プレスブリーフィングを行っている。日本のロボット技術への関心は別格で、それ以外では福島県民の健康、甲状腺がんと原発事故の関係、子供の貧困などへの関心も高い。プレスツアーも大好評だが、基本的に有料。その方が本国に記事を発信してくれる確率が高い2016年に行った津波防災と地方創生がテーマの高知ツアーに関連して、100件超の海外報道があった。
・基本的に、今も昔も日本は海外情報の入手には積極的だが、自国情報の対外発信をあまり得意としていない。単純に予算規模だけで広報活動の良し悪しは論じられないが、近隣諸国に比較して日本政府の広報活動に対する支援は十分とは言えない。現状、日本の良さを外国に発信するには、外国メディアを活用するのが手っ取り早い方法だ。そういう発想を持って、ラ米協会などの団体も海外プレスを積極的に活用するなど、発信の一翼を担って欲しい。
講演の後には出席者との間で質疑応答があり、他国メディアとの比較、外務省の有識者懇談会で議論した中南米の日系移民社会との連携強化、ブラジルのパラリンピック候補選手との交流、そして、国連の広報活動の特徴などについて大変活発な意見交換が行われました。
赤阪清隆フォーリン・プレスセンター理事長
会場の様子