アーウィン・ラロック・カリブ共同体事務局長 講演会のご報告「カリブ共同体(カリコム)と日本・カリコム関係」(2017年7月24日(月)開催) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

アーウィン・ラロック・カリブ共同体事務局長 講演会のご報告「カリブ共同体(カリコム)と日本・カリコム関係」
(2017年7月24日(月)開催)


【演題】「カリブ共同体(カリコム)と日本・カリコム関係」
【日時】2017年7月24日
【場所】三菱商事株式会社 丸の内パークビルディング会議室
【講師】アーウィン・ラロック・カリブ共同体(カリコム)事務局長
【参加者】約36名

ドミニカ国において14年にわたり複数の省庁の次官を務めた後、2011年にカリブ共同体(カリコム)事務局長に就任したアーウィン・ラロック氏をお招きし、カリコムの概況と日本・カリコム関係についてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通りです。

・カリコムはカリブの独立国を中心とした15ヵ国・地域が加盟する地域機構である。2001年にチャガラマス条約(改訂)が締結され、2006年には共同市場を強化・拡大したカリコム単一市場・経済(CSME)が立ち上がった。

・カリコムは、最高意思決定機関の首脳会議を頂点とし、閣僚共同体理事会、その下に外交及び共同体関係、貿易・経済開発、人材・社会開発等、機能別に閣僚レベルの理事会がそれぞれ設けられている。

・カリコムの活動は、経済統合、人材・社会開発、外交政策の調整、安全保障の4つを基盤に持続的発展に取り組んでいる。

・エネルギーは輸入に頼っており、島嶼国ゆえに自然災害や地球温暖化の影響を受けやすい。各国とも再生可能エネルギーへのシフトを強化し、2027年までの再生エネルギー比率40%実現を目標に掲げている。

・自由貿易協定の重要性を認識し、コロンビア、コスタリカ、ベネズエラほか、複数国と経済連携協定を結んでいる。

・直近の目標は雇用創出、輸出増加、治安維持、持続可能な社会、人材開発等である。

・一部の加盟国が租税回避地としてブラックリストに載り非難されている。外資銀行の撤退などの影響が出ているが、各国とも法に則った制度を採っている。

・日本との関係では、1993年以降、毎年事務レベルで会合を行っている。2014年には第1回日・カリコム首脳会合がトリニダード・トバゴで開催され、安倍総理が「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力」「交流と友好の絆の拡大」「国際場裡における協力」の3つの政策を表明され、地域の状況に合致した的確な外交指針であると受け止めている。今後の対日関係では、日本からの投資、観光、人的交流を呼びかけていきたい。

講演の後には出席者との間で質疑応答があり「EUのような人の移動も含めた共同体を目指すのか」「トランプ政権の影響と関係性」「ベネズエラの民主化へのカリコムの立場について」「カリコム新規加盟の条件」「ドミニカ国の紹介」等、多岐にわたってお答えいただいた。

【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)

“LECTURE BY AMBASSADOR IRWIN LAROCQUE SECRETARY-GENERAL CARIBBEAN COMMUNITY “(PDF)

“カリコム概要”(PDF)

外務省中南米局 作成