国家が関わる郵政事業で発行され、その国の文化遺産や歴史、名所などを取り上げている切手は「小さな外交官」とも呼ばれる。本書は、「郵便学」を提唱する著者が、切手や絵葉書を手懸かりにリオデジャネイロの歴史と文化を訪ね歩いた紀行。
第1章ポン・デ・アスーカル、第2章コルコヴァードのキリスト像、第3章コパカバーナからイパネマへ、第4章旧市街(セントロ)を歩く、第5章フラメンゴとマラカナン(2016年オリンピック開会・閉会式場となった大競技場)、附章カーニバルと切手という構成は、リオデジャネイロの名所を網羅しており、美しい光景を彷彿とさせる場所ばかりだが、事実それぞれにちなんだ切手はもとより、古い絵葉書と著者が撮った写真(すべてカラー)と文章で、街の佇まい、空気や匂い、ざわめきまで感じさせてくれる、読んでいるだけで楽しいリオデジャネイロ街歩きに誘ってくれる。
〔桜井 敏浩〕
(えにし書房 2016年8月 190頁 2,700円+税 ISBN978-4-908073-28-1)
〔『ラテンアメリカ時報』2017年秋号(No.1420)より〕