【日時】2018年2月6日(火)
【場所】新橋・田中田村町ビル8F8E会議室
【講師】中前 隆博外務省中南米局長
【参加者】70名
第1部では、中前 隆博 外務省中南米局長をお招きし、本年の中南米諸国の政治・外交・経済についてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通りです。
・2017−18年はメキシコ(7月)、ブラジル(10月)をはじめとする9カ国で大統領選挙ないし政権交代が行われるが、既存政党が苦戦し、独立候補がリードする傾向がみられる。ブラジルやコロンビアでは政治腐敗が争点となっている。背景には、経済や教育レベル向上に伴う国民意識の向上、司法制度の確立などがあるだろう。ブラジルやメキシコではポピュリスト的候補が優勢となっている。
・11月にはブエノスアイレスでG20の首脳会議が開催されるが、それに伴う閣僚会議が数多く予定されている。
・中南米の経済は回復基調にある。17年はインフレ率が下降し、個人消費・投資が拡大した。リスク要因は各国の政治変化、米国の対外政策、金利等。2018年のGDP成長率(予想)はブラジル2.0%、メキシコ2.4%となっているが、ブラジルは年金改革、メキシコはNAFTA再交渉といった重たい課題がある。
・ベネズエラの情勢は深刻であり、インフレ率は2,600%となりコントロールが効かない状態に陥っている。原油価格の下落、米国の経済制裁といったマイナス要因もある。
・2月1日にはティラソン米国国務長官が対中南米外交政策演説で、「経済成長」「安全保障(治安)」「民主的統治」を3つの柱とすると述べた。中国の中南米進出に対しては「中国の国家主導モデルは過去のもの。中南米の未来ではない」等の発言でけん制した。
・中南米は親日国が多いが日本の情報は限られている。在ブラジルやメキシコの日本大使館ではSNSでの発信に取り組んでおり、役割は大きいと考えている。
・日本からの中南米へのアプローチは、移住支援から始まり、食糧・資源の輸入および工業製品の輸出、民主化支援といったように形を変えてきた。民主化が進んだ今は世界的課題に共に取り組むパートナーの関係になっている。
講演の後には出席者と意見交換が行われ、交渉中の日本・コロンビアEPA、ボリビアとの関係等についてコメントをいただきました。
また、第2部では、昨年10月16・17日にメキシコ市において当協会が米インターアメリカン・ダイアログとの共催で開催したセミナーの成果について参加者が報告しました。
【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)。
■「2017-2018年の中南米での大統領選挙等」(PDF)
外務省中南米局 作成
中前 隆博 外務省中南米局長
会場の様子