【演題】「ペルーの最新情勢について」
【日時】2018年2月21日(水)
【場所】フォーリン・プレスセンター
【講師】株丹 達也 前駐ペルー日本国特命全権大使
【主催】ラテンアメリカ協会、日本ペルー経済委員会
【共催】日本ペルー協会
【参加者】46名
株丹達也前駐ペルー大使をお招きし、ペルーの特徴や魅力、最新の政治・経済情勢についてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通りです。
・ペルーを彩る3大特徴は、
① 多様性:多様な地形・生物相・多人種、
② 歴史:カラル文明(紀元前3000年頃)・インカ文明(15-16世紀)
③ 食:多様な食文化・世界有数の美食国(世界トップクラスのシェフを輩出)
に総括できる。
・ペルーの政治体制は、クチンスキー大統領と副大統領2人を中心とした大統領制。議会は与党・変革のためのペルー国民(PPK)が15議席に対して、ケイコ・フジモリ氏率いる人民勢力(FP)が61議席と圧倒している。汚職疑惑報道などで大統領の支持率は低下し本年1月の調査では2割を切っている。
・大統領在任中の人権侵害の罪で服役していたフジモリ元大統領は高齢・病気を理由に12月末に恩赦を受けたが、世論は恩赦に対して賛否が真っ二つに割れている。
・経済は底堅い成長を続けている。ムーディーズの格付けは、南米ではチリについで2番目のA3と評価が高い。インフレ率は10年間で3%前後と極めて安定している。世界有数の資源国、若年中間層の活力、旺盛な消費性向もペルーの魅力になる。
・日本とは2008年に投資協定、2012年に経済連携協定(EPA)を締結し、租税協定交渉の開始も決定している。19カ国・地域と自由貿易協定(FTA)を結び、トルコ、インドなどとも交渉中だ。FTA 先進国で貿易額の90%をカバーしている。
・首都リマでは2016年にアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合、2017年には国際オリンピック委員会(IOC)総会が行われ、本年は米州首脳会議が開催されるなど、国際会議の誘致に積極的。経済協力開発機構(OECD)加入も目指している。
講演後に出席者との間で質疑応答があり、租税条約、政策・法案、日系4世の日本滞在ビザに関する質問にお答えいただいた。
【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)。
■「ペルー情勢」(PDF)
株丹 達也 前駐ペルー 日本国特命全権大使 作成
株丹 達也 前駐ペルー大使
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