『バルパライソの長い坂をくだる話』  神里 雄大 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『バルパライソの長い坂をくだる話』  神里 雄大

1982年ペルーの首都リマで北海道生まれの母と沖縄生まれの父と間に生まれて以後ずっと関東に在住、2016年から17年にかけてブエノスアイレスに住み、サンパウロ、パラグアイやチリなどラテンアメリカ各地や沖縄、小笠原を旅した著者が書いた「+51 アビアシオン、サンボルハ」(リマ市サンボルハ区のアビアシオン通りの名から)、「イスラ!イスラ!イスラ!」(スペイン語で島)、「バルパライソの長い坂をくだる話」(バルパライソはチリの首都サンチャゴ近くの港町)の3本の戯曲と、7本から成るエッセイ集「いいかげんな訪問者の報告」を収録したもの。3本の戯曲には、それぞれの上演記録の一覧も付されている。

神里の書く戯曲は、長い一人台詞が主体になっていて小説のようだと言われるが、あくまで台詞が連続する戯曲であり、「バルパライソ」は2018年2月に発表された第62回岸田國士戯曲賞を受賞している。戯曲としての評価もさることながら、リマやブエノスアイレスの街や日本人移民社会を少しでも知る読者には土地の感触が蘇り引き込まれるものがある。

〔桜井 敏浩〕

(白水社 2018年4月 196頁 2,000円+税 ISBN978-4-560-09636-9 )