『ラテンアメリカの年金政治 -制度変容の多国間比較研究』 馬場 香織 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ラテンアメリカの年金政治 -制度変容の多国間比較研究』 
馬場 香織


 ラテンアメリカにおいて1990年代の民営化時代、2000年代の新自由主義時代にそれぞれの国で年金分野等の社会保障制度改革が試みられ、その後のポスト新自由主義時代の揺り戻しによる改革には、ウルグアイのような左派的修正だけではなくメキシコの民営化深化再改革、チリの混合型などの差異があった。
 著者(アジア経済研究所を経て北海道大学大学院准教授)はメキシコの政軍関係やラテンアメリカの市民社会組織を探究してきた若手研究者。ラテンアメリカで新自由主義改革後の年金制度の公的賦課式年金の確立から第一世代改革までに、なぜ2000年代のラテンアメリカ諸国で年金制度の異なる「再改革」がみられたのかを、制度的・政治的要因を注視し歴史的経緯を辿る。再改革の理論的枠組みと第一世代改革の妥協形態別民営化セクターについての仮説を立て、各国で異なる年金再改革の可否をアルゼンチン、メキシコ、ウルグアイでの実地調査を基にチリ等の資料によって補強、再改革とその展開を事例検証して今後に続く改革の道筋を示唆し今後の課題を挙げている。
                                〔桜井 敏浩〕

(晃洋書房 2018年3月 225頁 3,800円+税 ISBN978-4-7710-3037-4)

 〔『ラテンアメリカ時報』2018年夏号(No.1423)より〕