『ブラジル先住民の椅子 Benches of the Brazilian Indigenous Peoples』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ブラジル先住民の椅子 Benches of the Brazilian Indigenous Peoples』

東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)で2018年6月30日~9月17日の間開催されている、ブラジルのBEIコレクション提供のブラジル アマゾン河のシングー川流域のパラ州、マトグロッソ州を中心に、北部ロライマ州、アマゾナス州などに住む先住民が使ってきた椅子の素晴らしい収集品の展示図録。

丸太から彫り出した動物彫刻の椅子は、村の儀礼で先住民の酋長、シャーマン、戦士が使っていたものを源流とし、天界の使者を想わせるコンドル、雨を呼ぶジャガーなど霊魂を求めてのモチーフや野生動物の姿を単純化させた椅子の数々は、もはや民俗道具の範疇には留まらない自然を介して抱かれた宗教心をも感じさせ芸術性をもった視覚表現は、現在の都会生活のモダン・インテリアとしも高く評価できる優れたデザインのものばかりである。

上記美術展は、先住民の伝統社会がかろうじて存続出来ていた時代に作られた比較的古いものと、世界的に芸術性が評価されてきたことにともない、現代社会の中で生きる彼らの子孫が近年制作した新しい作品の二つのグループの展示から構成されたが、本書で取り上げられた92の作品のカラー写真図版からも、その素晴らしさが十分伝わってくる。

〔桜井 敏浩〕

(樋田豊治郎、中沢新一、渋谷拓、大木香奈解説執筆、美術出版社 2018年6月 167頁 2,222円+税 ISBN978-4-568-10503-2 )