『ギャングを抜けて。-僕は誰も殺さない』  工藤 律子 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ギャングを抜けて。-僕は誰も殺さない』  工藤 律子


 ホンジュラス第二の都市サン・ペドロ・スーラ生まれで、16歳でホンジュラスを離れ現在はメキシコ市に住む20歳の少年アンドレスが、なぜ故郷を離れたか、どのようにメキシコ市まで辿り着いたか、そこで難民申請をして幸い認められNGO施設に移って新しい生活を始め人生を切り拓くまでを紹介したドキュメンタリー。
 中米にはメキシコやコロンビアの麻薬カルテルと手を組み、店などからみかじめ料を取り、誘拐や殺人を行う「マラス」という若者ギャング団が横行し、彼らに目を付けられるとその仲間に入るか、難をさけて故郷を捨てて逃げなければならなくなる。アンドレスも一時地元のマラスに加わるが、他のギャング集団の縄張りに入ってしまい、その報復でよく似た少年が殺されたことから身の危険を感じて故国を脱出することにし、グアテマラを通過しメキシコに向かった。
 2014年にメキシコでストリートチルドレンを取材していてアンドレスに出会ってインタビューし、2016年に『マラス-暴力に支配される少年たち』(集英社 https://latin-america.jp/archives/21989 )執筆にあたり、さらに対話を重ねて纏めたもの。彼なりにもがいて自分の道を切り拓いてきたアンドレスは自身へのエールもこめて「自分が進むべき道は自分で創るんだ。そうすれば、人生はきっと生きるに値するものになる」と語っている。
                               〔桜井 敏浩〕

(合同出版 2018年6月 157頁 1,560円+税 ISBN978-4-7726-1346-0 )

 〔『ラテンアメリカ時報』2018年秋号(No.1424)より〕