キューバに最初の日本人移民が入ったのは1898年で、1943年までにおよそ1,750人が記録されている。本書は、移民の事例、入植の経緯、家族、生業、出身、日本人移民の特徴を多くの歴史的な写真とともに載せていて、花卉栽培家・園芸家として活躍した竹内憲治、湿地を耕地に変えた大江三郎、稲作と鉱業、漁業技術、野球・柔道・空手道、絵画・音楽界における日本人の貢献と存在を紹介している。さらに1959年1月のキューバ革命成就と日系移民、第二次世界大戦時の日本人の監獄収容、それがもたらした日系社会の断絶と社会崩壊、その後の日本人会再建の試み、日本人の減少とキューバ国籍取得者の増加を、キューバの移民研究者と外交官が文献調査と日本人移民から聞き取りによって追跡した共著である。
2019年の日本・キューバ外交関係樹立90周年にちなみ、前版『ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史』(VIENT 2005年。「ラテンアメリカ 参考図書案内 2000-2005年のご案内」https://latin-america.jp/archives/category/books )を再編集し資料を追加して再刊したもの。
〔桜井 敏浩〕
(西崎素子訳 彩流社 2018年9月 255頁 2,200円+税 ISBN978-4-7791-2522-5 )
〔『ラテンアメリカ時報』2018年秋号(No.1424)より〕