講演会のご報告「岐路に立つラテンアメリカ:ポピュリズムとグローバル・インテグレーション」(2018年10月12日(金)開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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講演会のご報告「岐路に立つラテンアメリカ:ポピュリズムとグローバル・インテグレーション」(2018年10月12日(金)開催)

【演題】岐路に立つラテンアメリカ:ポピュリズムとグローバル・インテグレーション
Latin America, standing at the crossroads: populism and global integration
【主催】ラテンアメリカ協会
【日時】2018年10月12日(金)15:00~16:30
【場所】田中田村町ビル5階5A会議室
【講師】アルゼンチン国際関係評議会(CARI)アジア委員会委員長
エドゥアルド・アルベルト・サドゥス氏(元マレーシア大使、元ベネズエラ大使)
Eduardo Alberto Sadous, Director, Asian Affairs Committee, Argentine Council for International Relations (CARI)
【参加者数】41名
 
 まず、サドゥス委員長は最近の世界情勢について、5年前まで絶対的と考えられた代表制民主主義、開放経済、地域統合の3つの要素が世界的に挑戦を受けているとの認識を示された。特に、ラテンアメリカは伝統的に貧富の差が大きく、不平等の度合いが相対的に大きく、ポピュリズムが生じ易い環境にあるとして、ベネズエラの状況について、(1)元来、チャベスは右派独裁志向ではなく、キューバのカストロ兄弟に近いイデオロギーを持っていたこと、(2)任期中に原油価格が高騰したため、国営石油会社PDVSAを掌握して多くの人材を入れ替えたことも影響し、石油生産量が減少したこと、(3)原油市況の下落後も、年間700憶ドルもの外貨収入(ピーク時)の多くをカリブ諸国などの支援に充て、国家財政の圧迫の要因となったことなど、アルゼンチンの駐ベネズエラ大使として勤務された経験を踏またご自身の認識を話された。 

その後、ベネズエラに似た政権がボリビア、エクアドル、ニカラグアに誕生しALBA(米州ボリバル同盟)が結成されるなど、当初、チャベス政権に共感する国も多くあったが、2008年の一次産品価格の急落を契機にそれまでの流れが変わったと理解していると話された。

 今年は、メキシコで左派政権が誕生し、ブラジルの大統領選挙では右派のボルソナロ氏が当選するとの大方の予想となっているとの現況を説明され、ボルソナロ氏当選の余波は、アルゼンチンにも及ぶと見ていると述べた。メルコスール(南米南部共同市場)の再交渉の可能性も否定できないし、来年のアルゼンチンの大統領選挙でのクリスチーナ前大統領の再出馬の噂を増長する効果もあるとした。

昨年10月の議会選挙ではマクリ氏の政党が勝利を収めたが、来年のアルゼンチンの大統領選は経済の状況次第で大きく動くとみていると述べた。今年は記録的豊作であり来年上半期からはプラス成長に転ずるとの期待もあるとみる一方、クリスチーナ前大統領の出馬でペロン派が2分する可能性もあるとの見解である。このほかの候補としてはブエノスアイレス州のマリア・エウゲニア・ビダル州知事が噂されているが、同氏に対しては、裕福な出自のマクリ大統領と異なり自分たちと同じと感じる国民も多い、と話された。
 質疑応答では、ベネズエラの現状理解に対する質問が出された。


会場の様子