多民族国家であり多様な民族の文化の混淆から成る、21世紀の現在進行形のブラジル・ポピュラー音楽に焦点を当てたディスクガイドブック。
ブラジル音楽の入り口はポスト・ロックなどのブラック・ミュージック、ジャズなどの音楽の要素を取り入れて進化してきた。本書は00~11章と 8割方のページを割いてジャンルやスタイルや地域などの切り口から21世紀世代のミュージシャンとディスクを紹介しているが、ある章で登場した音楽家が別の章で登場していることは、多様であってもすべてブラジルという共通の土地を通じて繋がっているというブラジル音楽、ブラジル人のアイデンティティを示している。
残る 3章で今世紀のブラジル音楽の基礎を作った1990年代のミュージシャンの当時とその後の代表作、さらにその前の世代にあたるベテラン勢の中で今の全盛期を維持しているミュージシャンと海外日系人協会の音楽家との共演した作品を世代に越えて紹介している。11人のブラジル音楽に詳しい音楽関係者による共編。
〔桜井 敏浩〕
(Pヴァイン発行 日販アイ・ビー・エス発売 2018年8月 191頁 2,450円+税 ISBN978-4-909483-01-0 )