【演題】太平洋同盟の現状と展望
【日時】2018年11月14日(水)15:00~16:30
【場所】新橋ビジネスフォーラム
【主催】ラテンアメリカ協会、日智経済委員会日本国内委員会、日本ペルー経済委員会
【後援】日本ペルー協会、日本チリ―協会
【講師】駐日ペルー共和国大使 ハロルド・フォルサイト氏(メインスピーカー)
駐日メキシコ合衆国大使 カルロス・アルマーダ氏
駐日チリ共和国大使 グスタボ・アジャレス氏
駐日コロンビア共和国臨時代理大使 アレハンドゥロ・ポサダ氏
【参加者】75名
先ずフォルサイト駐日ペルー大使が登壇し、太平洋同盟(PA)の概要を説明した。
■PAはラテンアメリカにおける地域統合の長い歴史の中で、イデオロギーとは無関係に人・財・資本の自由な往来(自由貿易)を明確な目的として設立された非常にユニークな経済ブロックである。特に、重要な点としては、加盟4ヶ国が民主主義、持続的発展、開放経済、雇用の創出、イノベーションの推進などの基本的価値観を共有していることが挙げられる。
■現在、日本を含む55のオブザーバー国に加え、新たに4カ国(豪、カナダ、ニュージーランド、シンガポール)が準加盟に向けて具体的交渉を開始している。韓国なども準加盟に手を挙げ、間もなく交渉が始まる予定。
■様々な観点から、日本はPAにとって重要な位置づけにあり、また日本側の関心も高いことを承知している。経団連にはPA担当者が任命されていると聞く。
続いて、アジャレス駐日チリ大使が登壇し、PAの将来展望について話した(大使は講演翌日にインドネシア大使着任のため離日を予定している中での登壇であった)。
■現在PAは「2030戦略ビジョン」の実現過程にある。
■その主要な4本の柱の一つ、「更なる統合深化」では、準加盟国、オブザーバー国との関係の強化を目指す。
■「更なるグローバル化」では、他のラテンアメリカ、アジア太平洋地域との協力関係を強化し、貿易事務所などの共有も視野に入れ、ASEANとの協力、組織としてのAPECへのオブザーバー参加、EUとの関係強化を目指す。
■「更なる接続」では、貿易窓口の一本化、生産活動・生産チェーンの活性化、関税撤廃、域外からの投資促進、持続的成長とイノベーションの推進、域内中小企業の育成、クリーンエネルギー協力などに取組む。
■「更に内国民待遇を付与」では、人の移動の自由、ワーキング・ホリディの導入などを考えている。
メキシコのアルマダ大使(12月初めに離日予定)は、PAの哲学である「自由で開かれた地域統合」に賛同し、世界の成長を鈍化させる保護主義には反対する、との考えを述べられた。
■PAのイニシアティブは、TPP11(CPTPP)が発効直前の今、非常に時宜を得たものと言える。TPP11もAPECも排他的ではない。しかし、WTOの存在意義が薄れていることを懸念している。
■メキシコと日本は二国間関係も多国間関係も共有している。
ポサダ臨時代理大使は、説明資料(4ページ)にある4人の大統領が握手している写真が加盟国の関係を象徴していると強調した。
■2011年の設立以降、各国の政治的変化にも関わらず、PAは安定を保ち、常に扉を開き、他の地域統合との関係強化を目指している。
■PAの特徴の加盟国の「共通性・親和性」という観点では、すでに域内の関税の92%の撤廃を実現し2030年までに残りの8%の撤廃を目指している。貿易窓口の一本化(共有化)に向けた歩みも着実に進んでいる。
最後の質疑応答では、来年チリが議長国となるAPECとPAとの関係、準加盟国となるための条件、オブザーバー55カ国の中での関心度の違い、中国との関係等について質問が出された。
なお、説明資料(日本語)はラテンアメリカ協会ホームページに掲載いたします。
【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)。
■「太平洋同盟の現状と展望」 (PDF)
フォルサイト駐日ペルー大使
アジャレス駐日チリ大使
アルマーダ駐日メキシコ大使
ポサダ駐日コロンビア臨時代理大使
会場の様子