『スペイン語で旅するおくのほそ道 SENDAS DE OKU』 伊藤 昌輝著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『スペイン語で旅するおくのほそ道 SENDAS DE OKU』 伊藤 昌輝著

俳句は江戸時代には俳諧(はいかい)と呼ばれ、連歌形式を一変させた松尾芭蕉(1644~94年)は生涯を漂泊者として送り 4編の紀行文を遺しているが、本書の最後の旅の終わった後も推敲を重ねて死の直前に仕上げたのが『おくのほそ道』である。極めて簡潔な文章で書かれているが格調が高く、短い文章の中に濃密な情感が凝縮されており、日本古典文学を代表する傑作の一つとされている。

元禄 2年(1689年)2月の江戸出立から日光、那須、白河を経て仙台、石巻、平泉まで北上し、出羽に出て越後、越中、越前を回って美濃の大垣に 9月初めに到達するまでに綴った旅の様子とその折々に詠んだ句の原文と現代語訳、そのスペイン語訳文と注記を、様々な江戸期の画像、旅程図、松尾芭蕉年譜などとともに分かりやすく両国語で載せている。

 同じ出版社からバイリンガル書籍として『スペイン語で奏でる方丈記』、『スペイン語で詠う小倉百人一首』、『スペイン語で親しむ石川啄木 一握の砂』の著作もある著者ならではの、日本語、日本文学とスペイン語に通暁した高い見識があってこその素晴らしい労作である。

 (エレナ・ガジェゴ・アンドラダ監修 大盛堂書房 2018年11月 239頁 1,800円+税 ISBN978-4-88463-122-2)
 〔『ラテンアメリカ時報』2018/19年冬号(No.1425)より〕