『レゲエ入門 世界を揺らしたジャマイカ発リズム革命』牧田 直也 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『レゲエ入門 世界を揺らしたジャマイカ発リズム革命』牧田 直也


 レゲエを生み出したジャマイカの歴史、首都キングストン、アフリカとの繋がりの濃い宗教と音楽の概説から始め、メント、カリプソ、スカ、ロック・ステディを経てレゲエの完成、世界中に知られているレゲエのスーパースターのボブ・マリーの故郷を訪ね1981年に36歳の若さで無くなるまでの軌跡を追っている。

ジャマイカ独特の移動式仮設ディスコの役割を引き継いだサウンドシステム、サウンド・マンと呼ばれるその経営者が1960年代以降スタディオ設立に動き出し、世界最速のフレキシブルな音楽製造工程、トークを競ったDJ(ディスク・ジョッキー)たち、ジャマイカが生み出した新しい音楽手法「ダブ」は別々の音源をミキサー装置を駆使して歌ものからリズム・トラックだけを取り出してそれにエフェクト(音響的な効果)を加えてまったく別な作品を作ってしまうのだが、さらに歌入りから歌を抜いたカラオケの「ヴァージョン」などの手法を駆使する表現者となったミキシング・エンジニアたち、少数宗教ラスタの集会での太鼓を中心とした演奏者の芸能集団出身のドラム等のミュージシャンが活躍し、1980年代はダンスホール(ディスコ)でレゲエが流行した。一方、第二次世界大戦後の就労難から海外移住した大勢のジャマイカ人によって、レゲエは英国等世界でファンを増やしたのである。

同著者の『レゲエ入門』(音楽之友社 2005年)の新版。旧版は1980年代後半からのコンピュータ化された打ち込みリズム・トラックの時代に入り、さらなる倍速化されたビートの時代を迎える前で筆を置いていた「狭義のレゲエ」であったので、その後のレゲエについての情報・統計データの更新、内容の増補を行い、2015年までの新たな20枚のディスク紹介を加えている。2018年にUNESCOの世界無形文化遺産にも登録が決まったレゲエの発展の歴史を詳細に追った解説書。

(アルテスパブリッシング 2018年8月 271頁 1,800円+税 ISBN978-4-86559-189-7)
 〔『ラテンアメリカ時報』2018/19年冬号(No.1425)より〕