執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)
ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第4回はエルサルバドル共和国国旗の不思議である。
図1.エルサルバドル国旗
出所: https://www.banderadeelsalvador.net/historia
1912年政令17号にて現行国旗の基本が制定される。
三色平行国旗 上部・下部 青、真ん中 白の配色。
1972年政令115号、1972年9月14日発布、公報171号にて現行国旗改定された。
第三章 共和国国旗 そのデザインと使用法
5項. 国旗は布の長方形に青色の2本の横平行の帯、その間に白帯を配する。
三色の帯のサイズは同等のサイズとする。
6項. 公式国旗には3種類がある。
一つは Magna国旗。(一般的に国旗とされている)
一つは 公館、公的機関に用いる。
一つは 軍隊行進に用いる。
7項. Magna国旗のサイズ 横の長さ 3m35cm 縦の長さ 1m89とする。
国旗中央には国章を配する。国旗は大きなサイズの国旗も使用できる.
(比率はそのままに)注:横縦 335:189 の比率。
8項. Magna国旗は国家記念日祝福のために三権の長出席となる公的行事・式典時に使用される。
9項. 公館使用国旗は横1m、縦60cm 但し 公館の状況によってこの比率を大きくすることは可能。
国旗中央の帯に『DIOS,UNION,LIBETAD』を配する。
『神、統合、自由』
10項. 公館使用国旗は国家の公的機関には使用する義務がある。公館長室にも敬意をもって
掲揚する。国家記念の日には朝6時掲揚し、夕方18時には降揚する。
11項. 軍隊行進用国旗は横1m45cm、縦90cmのサイズ。2mの長さと直径4cm の竿。(中略)。軍隊名等記載する。
国旗中央の白帯に金字に『DIOS,UNION,LIBETAD』を配する。
国旗の日:8月21日
図2エルサルバドル国旗の変遷
エルサルバドルの国旗の青は濃い青であり、エルサルバドルの空を表すと同時に太平洋と大西洋の海の青さをも表す。二つの大洋は他の国と堅固に結びつく国家の精神を表し、白帯は平和と協調を表す。
金字の線の正三角形、その中に左から右へ重ねられた5つの火山の山脈が、緑にして、二つの大洋に接する大地に連なる。その上部には虹が懸り、虹の下には自由のフリジア帽子が光の輪を形つくり、半円の形で『1821年9月15日』の文字が読める。フリジア帽は金の竿に掲げられている。
三角形の回りに円を描くように金字で『中央アメリカのエルサルバドル共和国』と書かれる。三角形の下には『神、統合、自由』とも書かれる。三角形からはエルサルバドル国旗が5本掲げられ、三角形の左右の一辺からそれぞれ二本の旗が、残り一本が三角形の真ん中縦方向から突き出ている。横から突き出ている旗は三角形の下から半分のところで絡み合っている。『神、統合、自由』の標語の下には円形を形造る二つの枝の月桂樹が青と白のリボンで、その両側の上の二本の旗まで果穂が届くまで結ばれている。その果穂の数は共和国の県の数と同じである。
フリジア帽とは・・・赤い三角帽である。
その起源は古代ローマの自由身分を解放された奴隷が被るもの。よってこのフリジア帽は『隷属からの自由への解放』の象徴となった。フランス革命時のサン キュロット(民衆)の象徴となり、ラテンアメリカ諸国の独立後に制定された国旗・国章の中に自由の精神の象徴として現れた。
例えば、国旗はパラグアイ国旗の中に表れ、国章ではニカラグア、キューバ、コロンビア、アルゼンチン、ボリビアの国章に現れた。