2017年5月に北京で開かれた「一帯一路フォーラム」において習近平国家主席が「一帯一路」経済協力枠組みへのラテンアメリカ・カリブ(LAC)諸国の参加を強く勧誘したことで、これまで「一帯一路」に含まれていなかったLAC諸国を取り込もうとする動きが活発化している。その後、LAC合計15か国が中国と「一帯一路」構想関連の覚書を署名している。
しかし、「一帯一路」構想の性格を持った中国投資・融資によるインフラ事業がLAC域内で大規模に2005年以降すでに展開されていたのも事実だ。本レポートは、中国・LAC通商関係の推移(貿易、対外直接投資、融資)、中国とLACの協力体制、LAC諸国と「一帯一路」構想との関連性を考察したうえで、LACインフラにおける中国のプレゼンスを、財政負担、環境破壊、中国人労働者などの課題につても言及しながら、特に主要被融資国(アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア)の観点から論考する。
【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】「『一帯一路』構想:ラテンアメリカにおける課題」桑山幹夫、工藤章