動物の言葉が喋れ、個性豊かな動物たちと一緒に暮らしているタイシ博士とも呼ばれる風おじさんの家に招かれた小学生を卒業したばかりの竜二とさゆりのところへ、ある日アンデス山脈にいる謎の鳥ズグロキンメフクロウから危急を知らせる手紙が届く。博士たちは直ちに探検隊を結成しペルーへ赴く。
かつてあったナスカ王国の聖堂で王族の死体から心臓を取り出す役を勤めていたズグロが王国の陰謀を知ったことから、探検隊はナスカの地上絵、約1万年前まで南米にいた巨大アルマジロの親類ドエディクルスの絶滅の謎を探るべく、アンデス高地にあったインカ帝国の首都クスコからさらに奥地にあるクルル村に向かう。
本書の大部分は、博士と竜二、さゆり、八咫烏や聖徳太子の愛犬、愛馬、協力してくれる狸の夫婦はじめいろいろな動物たちとの探検と会話の長い物語で、そうペルーそのものを描写しているわけではないが、面白く読ませる児童文学。著者は、京都大学理学部動物学科卒の霊長類学者。京大名誉教授。 〔桜井 敏浩〕
(福音館書店 2018年6月 734頁 3,500円+税 ISBN978-4-8340-8405-4 )