連載レポート8:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第7回)パナマ国旗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート8:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第7回)パナマ国旗


連載レポート8

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議

(第7回)パナマ国旗

執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)

はじめに

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第7回はパナマ共和国国旗の不思議である。

1.パナマ国旗


図1 現在のパナマ国旗
出所: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/panama/index.html

1-1.パナマ国旗の根拠法

1903年11月1日最初のパナマ国旗が制定されたが、その後、改定され現行の国旗は1949年12月15日法令34号にて制定された。

国旗、国歌、国章を制定。
第一章 共和国国旗は四分割の長方形とする。
一番上部 竿に接する白い分割部(カントン部) 五角形の青い星を配する。
二番上部 その青部分からの続き部分赤の分割部。
一番下部 竿に接する青い分割部。
二番下部 続いて白い分割部 五角形の赤い星を配する。

第二章 国旗の大きさは次とする。
横3m、縦2mの国旗は 公共施設、軍艦、商用船等の使用
横1m80cm、縦1m44cmの国旗は歩兵・砲兵隊用
横1m正方形の国旗は騎兵隊用
横47cm、縦32cmの国旗は 公用車への使用
掲揚時のポールの高さが規定されている。国旗の縦の6倍の高さとする。
竿ポールの高さ    国旗のサイズ(縦X横)
6 m          1 m x 1.5 m
7 m          1.16 m x 1.74 m
8 m          1.34 m x 2.01 m
9 m          1.5 m x 2.25 m
10 m          1.66 m x 2.49 m
11 m          1.84 m x 2.76 m
12 m          2 m x 3 m

1-2.パナマ旗の歴史

国旗の日 11月4日

1903年11月3日パナマはコロンビアから独立した。その独立の経緯はパナマ運河の利権に絡み、アメリカ合衆国の思惑通りの独立となった。
その後、パナマ運河はアメリカの支配下で長らく続いた。地理学的には中米だが、地政学的および歴史学的に言えば、パナマは中米ではない。すなわち1821年スペインから独立した中央アメリカ連邦五ヵ国にはパナマは入っていない。なぜなら、まだコロンビアの一部であったからだ。よってその国旗の起源はパナマ独立まで待つしかない。

パナマ国旗の歴史は1903年に始まる。現国旗は1904年初代の国旗のカントン部を白地に青い星を配する形に修正したため全体の分割部が再配置されたものとなった。独立当時の二大政党である自由党(赤)と保守党(青)が、政府と総合的な諸権利を自発的かつ正当に理解し合い、平和(白)な国家を象徴している。

パナマ国旗は、初代大統領マヌエル・アマドール・ゲレロの息子であるドン・マヌエル・アマドールがデザインし、大統領の夫人であり、継母でもあったマリア・オッサ・デ・アマドールらによって最初の国旗が手作りされた。その最初の手作りの国旗はコロンビア独立前夜1903年11月1日夜から2日の朝にかけて秘密裏に急ごしらえで作られたという。


図2 パナマ国旗の変遷

1-3.パナマ国旗の色

青:コロンビアの保守党を表す。保守党はコロンビアの千日戦争に参加。   
  千日戦争(コロンビア国内内戦)中央集権の保守党と連邦主義の自由党の争い。
赤:コロンビアの自由党を表す。自由党も千日戦争に参加。
白: 平和と新しい国家統治すべくその統一を表す。

1-4. パナマ国旗の二つの星

パナマ国旗は四分割国旗である。この四分割国旗は結構珍しい。
その中に赤い星と青い星が見える。
赤い星:純潔、国家の公共生活を定めるべき誠実さを表す。
青い星:権威、価値ある国に根付かせるべき法律を表す。