福岡県出身で高校時代にバルセロナに、大学時代にニューヨーク市立大学にそれぞれ留学経験があり、メキシコのカンクンでの旅行ガイドとして働いていたあずさが、キューバへ一人旅しサルサを習いに行ったところそのスタジオでサルサを教えていたアメッドと出会い、ハバナ大学法学部を卒業して弁護士資格を得た彼が初めて出国して日本に来て2年間日本で共に生活、その後はアメッドがカナダのモントリオール法学院の入学許可を取得したことから現在は二人で同地に在住している。
本書は、アメッドが「僕の生まれた国・キューバ」で生い立ちの段階とともにキューバの教育・医療システムの実情、一般家庭の食事情と料理、徴兵制による兵役経験、ハバナ大学法学部に入っての大学生活、その中でサルサとパーカッションを教えるアルバイト(これがきっかけであずさと知り合った)、人種差別事情を話させ、キューバの社会主義がどういうものかを質疑応答形式で語らせている。コラムとして、キューバの名付け、結婚・離婚事情、性文化の説明も付けている。後段97頁以降は二人の対話を通じて、国際結婚事情、異文化の交差、キューバ人の旦那から学ぶこと、アメッドが語る日本での生活で感じた事なども付している。
日本人とキューバ人との出会いと結婚を軸に、キューバの日常生活や社会の実情を分かりやすく、楽しく解説している。これまでのキューバ旅行ガイドや解説書とは一風変わった切り口での紹介書。
〔桜井 敏浩〕
(アメッド・アルメンテロス・ロドリゲス、大賀あずさ 産業能率大学出版部 2018年12月 165頁 1,300円+税 ISBN978-4-382-05758-6 )
〔『ラテンアメリカ時報』 2019年春号(No.1426)より〕