講演会のご報告「エルサルバドル次期大統領の政治外交・経済政策に伴うビジネス可能性について」(2019年4月26日 (金) 開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会のご報告「エルサルバドル次期大統領の政治外交・経済政策に伴うビジネス可能性について」(2019年4月26日 (金) 開催)


【演題】「エルサルバドル次期大統領の政治外交・経済政策に伴うビジネス可能性について」
【講演者】樋口 和喜 駐エルサルバドル日本大使
【日時】2019年4月26日(金)15:00~16:30
【場所】日比谷国際ビルB1 会議室
【参加者】42名

樋口 和喜 駐エルサルバドル日本大使

樋口和喜 駐エルサルバドル日本大使をお招きし、エルサルバドルの現状と今後の展望についてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通り。
 
・エルサルバドルの総人口は635万人だが、中米全体では4700万人規模の市場があり、航空・海上輸送の物流の要衝として位置づけられている。

・1980年から92年まで内戦が続き政治経済が停滞。92年の和平協定以後は2009年までARENA親米右派政権、2009年から2019年まではFMLN左派が政権を執っていた。本年2月の大統領選挙でナシブ・ブケレ前首都サンサルバドル市長が勝利し6月1日に新大統領となる(任期5年)。二大政党政治や大統領の汚職、経済低迷に対する国民の嫌気が表面化し、国民から高い支持を得た。パレスチナ系移民の37歳で反イスラエル的姿勢は見られない。外交方針は対米関係重視。現左派政権が昨年8月に中国との国交を樹立して80年続いた台湾と断交したが、ブケレ次期大統領が、この合意を見直すのかどうかが注目されている。

・経済は、GDP成長率は2.5%、貿易収支はマイナス58億ドルで輸入依存。米国等の移民からの送金が55億ドルに上るが、個人消費に回り投資に有効利用されていないのが現状で産業は停滞している。2001年より通貨は米ドルを使用しており、市中金利やインフレは比較的安定してきた。米国への不法移民が多い東部地域の経済活性化が急務。

・ブケレ次期政権は、雇用創出と経済成長を目標に掲げている。サンサルバドル市内の地下鉄・モノレールの新設や地熱発電・東部国際空港の建設など、インフラ開発構想がある。医療技術が高くコストが安いことから、米国民や中米の富裕層向けの医療ツーリズムなどの計画も進んでいる。ほかにエネルギー、防災、教育、スポーツ推進等の計画がある。

・マラス(LAから強制送還されたギャング団による犯罪組織)による犯罪は課題だが、治安状況は改善傾向にある。

・日本政府は開発協力として、経済活性化、環境・防災、治安・保健・教育関連の草の根無償などの包括的な開発援助を行っている。日系の進出企業は事業投資会社10社、支店登録3社。日本からの輸入は242百万ドル。日本への輸出は11百万ドルでコーヒーが主体。

・1963~77年まで早稲田、慶応の大学生が中米学生使節団として中米に短期派遣された歴史がある。中米と日本には類似性も多く、アミーゴ会や日本武道団体などを中心とした学術・文化・スポーツ交流が行われている。

・日本からのビジネスではODAを契機とした進出支援、技術提携、中米向け輸出推進、エネルギー開発への投資、医療資機材の輸出などが挙げられる。エルサルバドルは中米市場の玄関口であるため、中米市場向け代理店の設置などのビジネス展開が期待できる。

講演の後に出席者と意見交換が行われ、次期政権の中国・台湾との関係や、ODA、防災、医療ツーリズムなどに関してコメントいただいた。

【配布資料】

講演会発表資料「エルサルバドル次期大統領の政治外交・経済政策に伴うビジネス可能性について」(2019年4月26日 (金) 開催) よりダウンロードして頂けます。(会員限定)