『グローバル異文化交流史 -大航海時代から現代まで、ヒト・モノ・カネはどのように移動・伝搬したのか』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『グローバル異文化交流史 -大航海時代から現代まで、ヒト・モノ・カネはどのように移動・伝搬したのか』


大航海時代前後のグローバリゼーションを探ることで、経済の市場も異文化間の人々の交易の交渉によって出現してきたことを、海洋のグローバルなシビライゼーションの担い手マラッカ、オマーン、インド洋においてまたアラブ商人による三角貿易、イギリスの東インド会社の拡大、大航海時代から新バックス時代への移行、日本にも来た大航海時代の波、東南アジアでの日本人町に見られる日本の異文化進出“ディアスポラ”について概観した後に、「文化伝搬のケース・スタディ」として、マヤ族が珍重していたココアが欧州でチョコレートに改良された歴史、コロンブスが持ち帰ったタバコのグローバリゼーション、コーヒーと 5大陸文化の関係、紅茶、カレーと大英帝国などを挙げている。「太平洋と欧米の航海戦略」はハワイを事例に大航海時代からの太平洋の支配に向けての列強の進出、日本人の移民と共生などを、「異国・異境漂流記」では異国渡航禁止令、初めにハワイ、米国、ロシア、欧州、東南アジアを訪れた日本人、明治以降の欧米への津田梅子ほかの留学生たちを追い、最後にトランス・ナショナル時代の交流を米国の歴史学者ライシャワーがグローバリゼーションの未来について、アレクサンダーとシェークスピアといった「人物」、政治の統制面で進めたローマ帝国の「国家」などを挙げている。

著者は、異文化コミュニケーション・交渉学を専門とする札幌大学教授。多数の参考文献を参照して世界史の中から上記の事象を取り出し、社会の不安解消というニーズに対応するためにはグローバリゼーションに対して、①異文化理解、②企業の地域社会への責任履行、③社会的責任マーケッティングの展開、④異文化マーケッティング活動の展開という戦略が必要と指摘している。

〔桜井 敏浩〕

(御手洗 昭治・小笠原 はるの 明石書店 2019年1月 166頁 2,000円+税 ISBN978-4-7503-4783-7)