『途上国における農業経営の変革』清水 達也編 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『途上国における農業経営の変革』清水 達也編


 開発途上国の農業をめぐって、土地の売買・賃貸借形態・受委託や農作業機械化の進展、栽培技術の改良、生産から販売に至る統合など、農業経営の態様が変わってきており、各国政府の農業政策、農産物貿易政策も大きな変化が起きている。旧態依然の家族経営のままではなく、外部から資本・労働力等の経営資源を導入するなど、新しい農業経営を模索する世界各地の動きを、アジアの中国、ベトナム、タイと、ラテンアメリカのメキシコ、ブラジルで起きていることを、それぞれの研究者が事例研究を通じて考察している。
 メキシコについては、輸出向け蔬菜・果実生産企業の挑戦と、経済・政策的環境の変化、NAFTAの仕組みでの輸出、生産現場の状況を谷 洋之上智大学教授が論じている。ブラジルについては中西部における穀物生産者の経営拡大、中国の輸入増加に対応して農業フロンティアの拡大とサプライチェーンの構築によって自律的経営を増加させている姿を、清水達也アジア経済研究所地域研究センター ラテンアメリカ研究グループ長が考察している。これにペルー等ラテンアメリカ農業開発を専門とする清水研究員が、途上国における農業の変化についての序章と、新しい農業経営の姿を総括する終章を執筆している。ラテンアメリカの農業で今起きている大きな変化を知るための、極めて有益な参考文献である。

〔桜井 敏浩〕

(アジア経済研究所 2019年3月 241頁 3,700円+税 ISBN978-4-258-04640-9)
〔『ラテンアメリカ時報』 2019年夏号(No.1427)より〕