『地図とデータで見る 移民の世界ハンドブック』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『地図とデータで見る 移民の世界ハンドブック』


世界の人口のわずか3.5%と言われるが、移民問題は21世紀における最も大きな問題の一つである。しかし、人々が移動、人口の流動性がなければ、世界の不均衡や断層はもっと深いものになっているだろうとの問題意識から、移住の真の要因は何か? 受け入れと排斥、その政治的対応は何か? シリア内戦による未曾有の移民危機に直面する欧州、南アメリカ等新興国における移住の課題と影響を、地図を基にした図解によって分かりやすく纏めている。

メキシコ、中央アメリカ、キューバやハイチ等カリブ海地域から米国へ向かう移民、多くが送り出し国である南アメリカにも米国等へ出てから戻ってくる移民、近隣諸国からの移動などで470万人の移民がいる。ラテンアメリカについての直接的記述はわずか138~145頁までの8頁に過ぎないが、終章「未来に向けた政治的課題」でグローバル都市移住の新たな顔、移民送り出し国の移民政策、移住と開発の関係、移住のグローバル・ガバナンスに向けて認識の変化と見方では、世界の動きを南北アメリカを含めて俯瞰している。ラテンアメリカで移民をめぐる問題を理解するためには、世界全体の動向、他地域で起きている状況を知らなくては解らないので、一読・一覧の価値があると言えよう。

〔桜井 敏浩〕

(カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン マドレーヌ・ブノワ=ギュイヨ地図制作 太田小絵子訳 原書房 2019年6月 175頁 2,800円+税 ISBN978-4-562-05666-8 )