2019-08-07 18:30:57
講演会報告「ジャマイカの魅力―投資・ビジネス機会」(2019.07.26開催)
【日時】 7月26日 15:00~16:30
【講演者】 リカード・アリコック駐日ジャマイカ大使 「ジャマイカの魅力―投資・ビジネス機会」
丸紅株式会社 電力本部 大囿 竜也 本部長補佐 「JPS(Jamaica Public Service Co. Ltd.)事業と今後の取組み」
【場 所】 米州開発銀行(IDB)アジア事務所
【参加者】 36名
本講演会では、アリコック駐日ジャマイカ大使よりジャマイカの投資環境について、ジャマイカに駐在経験のある丸紅㈱の大囿氏よりジャマイカの電力事業についてお話をうかがった。
アリコック大使の講演要旨
- ジャマイカはカリブ海諸国の英語国として最大(西半球では米国、カナダに次ぐ3番目)。識字率は高く、若くダイナミックな国である等の魅力を有している。
- 投資環境は、世銀、ブルームバーグ、フォーブス等で高く評価されている。外資規制はなく、企業の自由な活動が保証されており、さらに税制上の優遇措置により、多くの多国籍企業がカリブ海地域のハブとして、そしてパナマ運河拡張後はロジスティックスのハブとして、さらにBPO(Business Process Outsourcing)の地としてジャマイカを活用している。
- ジャマイカと日本の関係は、今年3月に外交関係樹立55周年を迎え、昨年末にカリブ海諸国では初めて租税条約を締結し、批准に向け準備中。
- 貿易政策としてGLHI(Global Logistics Hub Initiative)を掲げ、キングストン港を世界有数の港(ロッテルダム、ドバイ、シンガポールに次ぐ)とすべく近代化を進めており、フランスのCMA CGM社が投資している。また経済特区制度(SEZs)を設け、投資企業に様々な奨励策を与えている。
- 倉庫等物流インフラの他、金融、エネルギー(特に太陽光、風力等の再生可能エネルギー)、鉱石類の採掘(石灰石、ボーキサイト等)、製造業(繊維産業)、アグリビジネス等にビジネス機会がある。中でも観光は収益性のある産業であり、トリップ・アドバイザーでは、ジャマイカはカリブ諸国中No.1ランキングであり、多くの外資系ホテルが投資している。映画やアニメーションといったエンターテイメント分野でも2008年以来1,000以上のプロジェクトを手掛けてきた。
大囿氏の講演要旨
- JPS(Jamaica Public Company)は発電、送電、配電を担う電力会社で2001年に民営化、丸紅は2007年に米Mirant社が持つ80%のシェアを取得した。発電源としては石油の割合が大きいが、LNGや再生可能エネルギーの割合も増加している。
- 今年9月に190MWの新たな天然ガス火力発電所が完工予定であり、石油依存による電力価格の上昇の平準化に資する予定。LNG輸入のための設備はほぼ出来上がっている。
- 新たな挑戦として、①蓄電設備とフライホィールによるグリッドの安定化、②スマートメーターの導入、③街灯のスマートLED化、④電動自動車とチャージ・ステーションの導入、公共バスの電動化を進めている。
- JPSは社会貢献活動(CSR)として、ボランティア活動、小学校へのPC寄贈、奨学金、女子ボブスレーチームの遠征費用負担などを行ってきた。
- ジャマイカの良いところは、①島国であり団結力・愛国心が強い。②コミットメント(約束は守る)の点で信頼できる、③政治的安定(2016年の政権交代後も政策の一貫性が貫かれた)。ほかに特筆すべきは、世界で一番女性を活用している国であること。
質疑応答では、9月にジャマイカを訪問予定の研究者からアドバイスを求めたい、というリクエストの他、SEZsの概要、環境に対する意識、文化の違いについて等の質問が学生を含む参加者から出され、大使から丁寧な説明が成された。
会場の様子
配布資料
リカード・アリコック駐日ジャマイカ大使 「ジャマイカの魅力―投資・ビジネス機会」講演会配布資料
丸紅株式会社 電力本部 大囿 竜也 本部長補佐 「JPS(Jamaica Public Service Co. Ltd.)事業と今後の取組み」