『まるごと探求! 世界の作物 トウモロコシの大百科』 濃沼 圭一編 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『まるごと探求! 世界の作物 トウモロコシの大百科』 濃沼 圭一編


小麦・米とともに世界の三大作物に挙げられるトウモロコシだが、それらの中で最も生産量が多いのはトウモロコシである。原産地であり栽培の起源となった中央アメリカでは、オルメカ、マヤ、アステカ文明を支え、さらに南米へも広まりプレ・インカ、インカ文明でも重用され古代神殿の壁画などでも多く描かれている。トウモロコシは雌穂(しすい)についている粒(子実)を主に利用されたいるが、実に様々な種類がある。その後欧州、アフリカ、アジアに伝播されて、野菜(食用)としてのほか、飼料用に広く利用されていて、その作型、作業体系、成長過程、開花・受粉のしくみや用途に合わせた収穫、品種改良、病虫害・気象災害対策などについて工夫がなされてきた。

中南米では家族農業と近代農業が、米国では大規模な機械化による大量生産が、欧州やアフリカ、アジア、日本でも、それぞれの地での利用法や環境に即して栽培されている。

食用としても品種によって、南北米州大陸や欧州・アジア・日本等の地域によって加工・調理法が異なり、またデンプン、糖類、油脂、飲料・酒の材料等興行的な加工、家畜の配合飼料としての利用も進み、世界の中でも生産国・消費国間貿易が拡大している。その生産拡大に向けて、単収の増大、食料難に苦しむ開発途上国への普及、遺伝子組み換え技術などの取り組みと課題、日本の生産・消費状況の変化と新たな生産に向けた濃厚飼料自給化や輸入に全量頼っている子実の国産化など農家経営とともに考えていかねばならない問題まで指摘しており、児童向け図書とはいえ大いに参考になる。

〔桜井 敏浩〕

(農山漁村文化協会 2019年3月 57頁 3,500円+税 ISBN978-4-540-18135-1 )