講演会報告「最近のブラジル情勢~ボルソナーロ政権の課題と展望」(2019.08.09 開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告「最近のブラジル情勢~ボルソナーロ政権の課題と展望」(2019.08.09 開催)


講演会報告『最近のブラジル情勢~ボルソナーロ政権の課題と展望』(2019.07.26開催)

【日時】2019年8月9日 15:00~16:30
【講師】山田 彰 駐ブラジル日本国特命全権大使
【主催】ラテンアメリカ協会、ブラジル中央協会
【場所】新橋ビジネスフォーラム
【参加者】約100名

一時帰国中の山田 彰駐ブラジル大使から「最近のブラジル情勢~ボルソナーロ政権の課題と展望」について講演いただいた。山田大使には、本年2月、発足間もないボルソナーロ政権の誕生の経緯と見通しについて講演いただいたが、今回は半年を超えたボルソナーロ政権の成果と課題について、ご自身の見解も交えてお話しいただいた。

ボルソナーロ政権の動向
  • 大統領はサンパウロ州で日系社会を見て育ったため、親日家である。G20で来日した際は大阪の心斎橋界隈を散策し、バルバッコアで食事した。就任後、すでに2回の日伯首脳会談を行っている。
  • 閣僚の構成は、概ね①右派(通称オラヴィスタ:右派思想家オラーヴォ・デ・カルヴァ―リョを支持)アラウージョ外務大臣他、②軍部出身(実利主義):副大統領、安全保障局長官等、③テクノクラート:ゲデス経済大臣、モーロ法務・治安大臣他の3派に分かれ、テクノクラートが成果を出している。軍人出身者が閣僚の3分の1を占める。高い組織力と豊富なPKO経験で培った国際感覚を有するが、軍政に戻したいとは考えていない。
  • 内政面では、最大課題の年金制度改革で進展を見せ(「憲法改正法案」が下院を通過)、長年の懸案である複雑な税制の改革にも取り組んでいる。選挙戦での公約である治安・汚職対策は今後の課題。
  • 政権支持率は比較的低調に推移しており、支持・不支持・どちらでもない、がほぼ3分の1ずつを分け合っている。
  • 外交では、EUメルコスールFTA交渉が実質合意した。ただ、アマゾン周辺の環境政策を巡り欧州諸国が懸念を表明している。
経済情勢
  • 経済成長率:2015−16年のマイナス成長は17年にプラスに転じたが、18年も含め1.1%と緩やかな上昇。2019年は0.8%との中銀の予想。インフレ率は目標の範囲内にあるが、失業率は高止まり(12.5%)。
  • 貿易相手国は、輸出入ともに中国が首位。
日本・ブラジル関係
  • 企業進出数は700社台であるが、ブラジルの潜在力から見ると少ない。
  • EUメルコスールFTA交渉が実質合意したことで、日・メルコスールEPAの交渉開始の機が熟してる。現在、交渉中のFTA(EFTA、カナダ、シンガポール、韓国)はメルコスールが当事者。新たな交渉はバイとなる可能性はある。

  • 2018年に日本人ブラジル移住110周年を迎えたが、2019年はアマゾン入植90周年、2020年は在日ブラジル人コミュニティ30周年。引続き「日系社会との連携強化」に努めたい。

講演後、参加者との間で、ブラジルの対中国観、企業マインドの現状、ラヴァジャット後のPetrobras、道路交通法の改正、等について質疑応答が交わされた。

会場の様子


配布資料

「最近のブラジル情勢~ボルソナーロ政権の課題と展望」(2019.08.09 開催) 山田 彰 駐ブラジル日本国特命全権大使 配布資料