執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)
はじめに
ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第24回はエクアドル共和国国旗の不思議である。
1. エクアドル国旗
図1 現在のエクアドル国旗
出所: http://www.ecuador-embassy.or.jp/j/ecuador/so_ecuador.html
1-1. エクアドル国旗の根拠法
1860年9月26日付 最高政令にて制定(Decreto Supremo del 26 de Septiembre de 1860)
三色の黄色・青色・赤色の国旗を国家シンボルとして制定する。
1900年11月7日議会により制定(Palacio Nacional, en Quito, a 7 de noviembre de 1900)
エクアドル国章および国旗に関する政令。
第一章
エクアドル国章は卵型盾を成し、その内部には、上部に黄道の帯に太陽を配する、
その帯には3月、4月、5月そして6月を表す記号を付する。
下部には右に歴史的なチンボラソ火山をを配し、山頂より川が流れ、麓の湖にそそぎ、蒸気船が浮かぶ、マストにはマーキュリーの杖となる、それは航海と商業のシンボルを表す。
束悍(そっかん)を置く、これは共和国の威厳のシンボルとなる。
盾外側には国旗を置き、椰子と月桂樹の枝を配する、盾の上に羽を広げた鷲を置く。
第二章
エクアドル国旗 特に変更なし、独立宣言時制定された国旗であえる。その色は黄色・青色・赤色。横平行にその順序(黄・青・赤)に並び、黄色の帯はその他の色の幅の二倍とする。
第三章
国旗は国家施設、軍艦、要塞、外交使節、外国領事関係施設に掲げられ、黄色、青色の帯
上の旗中央に国章を配することとする。
コロンビア国旗とエクアドル国旗は基本的にデザイン、色使いも同じとなる、唯一の違いは、エクア
ドル国旗は国旗中央にその国章を配することである。
出所:https://simbolospatriosde.com/bandera-de-ecuador/
1-2. エクアドル国旗の歴史
国旗の日(国旗制定日・独立記念日) 9月26日
図2 エクアドル国旗の変遷
1-3. エクアドル国旗の色
黄色:黄金色、国が恵みを与えた偉大な農産・鉱物資源の豊富な豊かさを表す。
青色:太洋、エクアドルの澄み切った青空を表す。
赤色:国家と自由を残してくれた英雄の流した血を表す。
1-4. 赤道共和国
グランコロンビアのシモン・ボリバルとアントニオ・ホセ・デ・スクレがエクアドルを解放した。グアヤキル・クエンカ・キトの3州は南部地区(Distrito del Sur)としてグランコロンビア共和国に併合された。
1830年グランコロンビアはベネズエラの独立とともに瓦解し、南部地区も1830年5月独立宣言したが、初代大統領となるべきスクレ将軍が暗殺された。しかし、同年8月独立した。ボリバールの理想であったグランコロンビアはここに夢破れた。独立に関し、3州の思惑から名前を 赤道共和国、つまりエクアドル共和国とした。