連載レポート27:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第25回) ペルー国旗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート27:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第25回) ペルー国旗


連載レポート27

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議

(第25回) ペルー国旗

執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)

はじめに 
ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第25回はペルー共和国国旗の不思議である。

1. ペルー国旗

図1 現在のペルー国旗
出所:https://historiadoreshistericos.wordpress.com/2010/11/07/historia-de-una-bandera-peru/

1-1. ペルー国旗の根拠法

1993年ペルー憲法(Constitución Política del Perú de 1993) 
第49章 国家シンボル
ペルー共和国首都はリマ、歴史首都 クスコ
国家のシンボルは国旗 縦三色国旗 赤白赤、国章、国歌とする。

ペルー国旗 その特徴
ペルー国旗は長方形 三色の同幅縦帯 赤色、白色、赤色とする。
国旗の横幅3:縦幅2とする。国旗掲揚の場所(建物の高さ)により国旗のサイズを決め、ポールの高さは国旗の縦幅の3倍となる。

1. BANDERA NACIONAL.三色縦帯国旗 国章(紋章)なし
民間、学校、会社、商業施設等、工場、国旗掲揚に使用。バンデラ ナシオナルと呼ぶ。

2. PABELLON NACIONAL三色縦帯 国章(紋章)付
1950年に制定 パベジョン ナシオナルと呼ばれる。
パベジョン ナシオナルに付く公式紋章は国章と異なる紋章となっている。
パベジョン ナシオナルはペルー国家のシンボルとして国家機関、公的機関に掲揚される。


図2 ペルー 国家シンボル

1-2. ペルー国旗の歴史
国旗の日(国旗制定日・独立記念日) 6月7日


図3 ペルー国旗の変遷

1-3. ペルー国旗の色
 
国旗制定者サンマルティン(解放者)による色の選定が行われた。

なぜ数多い色の中で、赤と白を選んだのか?ある歴史学者達はサンマルテインはアルゼンチンの色(白)とチリの色(赤)を選びたかった。両国は解放者の軍を形成していたからと。またある歴史家達は赤色はインカの戦争の色、そして祖国と人民を守り戦った英雄と殉教者の流された血の色。白色は自由、正義、純粋な心情、全国家の平和を表すと言う。

又このような逸話が残っている。

『ホセ・マルティン将軍、ペルーの解放者がピスコに上陸した時、パラカス湾の椰子の木の下で休息し、疲れから寝込んでしまった。その夢に偉大なる旗の下、誇りをもって前進している人々の姿を見た。物音とともに目を覚ますと、眼前にparihuanas(アンデスフラメンゴ)と呼ばれる鳥の一団が飛び出す瞬間であった。その鳥は胸が白く、羽が赤であった。その姿に感銘を受けてたホセ・マルティン将軍はペルー国旗の色を決めたという。』
出所:https://www.deperu.com/calendario/1247/don-jose-de-san-martin-establece-la-primera-bandera-del-peru

1-4. ビクーニャとキナの木とコルヌコピア(Cornucopia、豊穣の角) 
ペルー国旗(パベジョン ナシオナル)の中央に配されている公式紋章の盾にはペルーのアイデンティティーを表すシンボルが配されている。
★ビクーニャは偶蹄目ラクダ科に分類される偶蹄類でペルーのアンデス高原に生息する。最高級の毛糸がとれる。
★キナの木はアカネ科キナノキ属の常緑高木または小高木の総称でペルーに国樹。その樹皮から、マラリアの特効薬(解熱剤)キニーネが作られる。
★コルヌコピア(豊穣の角は古代ギリシア・ローマ世界において、食べ物と豊かさの象徴として用いられた角のイメージ。豊穣の角から溢れだす金貨が描かれており、これは豊富な地下資源を象徴している。