『「食」の図書館 コーヒーの歴史』ジョナサン・モリス | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『「食」の図書館 コーヒーの歴史』ジョナサン・モリス


原産地エチオピアから巡り巡ってラテンアメリカの農園で多量に栽培され、世界中で消費されるようになったコーヒーの歴史と、各地でのコーヒー文化、現在のコーヒー産業の実態に至るまでを解説したコーヒー通史。単なる歴史解説ではなく、コーヒーの二大品種アラビカとロブスタ種の違い、生産プロセス、国際取引と輸送、焙煎、脱カフェインやインスタントコーヒーの発明、抽出手法など、種子から飲み物に至る基本的な要素を解説し、イスラム諸国でコーヒー豆を焙煎して飲むという発見から「イスラムのワイン」として普及し、それが植民地から欧州に持ち込まれてコーヒーハウス等のコーヒー文化を生み出し、普及によって大量に生産・販売する工業製品化に至ったこと、今や国際商品として欧米日などで取り引きされ、価格安定のための国際協定の試みや新興生産国ベトナムの参画など、現代の動向まで述べているが、特に近年生産・消費に大きな変革をもたらした「スペシャリティコーヒー」にも1章を割いている。
コーヒーにまつわる歴史と現状、種類による特質などを本書は分かり易く網羅的に解説していて、ラテンアメリカの重要産業の一つであるコーヒーの生産・輸出を見るときにも是非知っておくべき内容を概観することができる。

〔桜井 敏浩〕

(龍 和子訳 原書房 2019年5月 242頁 2,200円+税 ISBN978-4-562-05652-1)

〔『ラテンアメリカ時報』 2019年秋号(No.1428)より〕