連載レポート32:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第30回) アルゼンチン国旗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート32:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第30回) アルゼンチン国旗


連載レポート32

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議

(第30回) アルゼンチン国旗

執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)

はじめに

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第30回はアルゼンチン共和国国旗の不思議である。

1. アルゼンチン国旗


図1 現在のアルゼンチン国旗
出所:http://manuelbelgrano.gov.ar/bandera/normas-iram/

1-1. アルゼンチン国旗の根拠法
 
アルゼンチン国旗は1812年2月27日マヌエル・ベルグラーノ将軍にて作成された。
それは、空色と白色を基調にした帽章の色でデザインしたものであった。
正式に1816年7月25日法令にて制定された。

2010年11月16日 政令1650/10号にて国旗規定(Normas IRAM)を制定。
第一章 国旗細則 IRAM-DEF D 7679号にて国旗規格細則制定。

4.項 細則
4.1.項 国旗デザイン 
三色同幅平行国旗、上下空色帯、中央白帯、色設定は4.4項。
国旗は白帯中央に 図1の太陽の図を配する。
太陽はそれぞれ16本の時計の針(直線)とともに、16本の太陽光線(曲線)を持っている。

4.2.項 国旗のサイズ(省略) 
4.2.1.項 国旗の縦横:縦幅900㎜の場合
縦:幅=1:1.6 (900mm:1440mm)
平行帯幅 3分の1 (300mm)

4.2.2項 太陽とその顔のサイズ
太陽の顔 国旗幅(縦)の9分の1 (100mm)
太陽(針、光線) 太陽の顔サイズの2.57倍 (250mm)
針、太陽光線の中の条線の長さは針、光線の長さの半分となる。
NOTA:太陽のサイズは帯幅の6分の5となる。太陽の顔のサイズは太陽のサイズの5分の2となる。

4.4項 色 各規定による。(下記)

4.5.1.項 太陽の図 (図2)
太陽は国旗両面、詰めすることなく、レリーフにて刺繍、黄金色の金属針を持つ。

図2 太陽の図

1-2. アルゼンチン国旗の歴史

国旗の日(国旗制定日・独立記念日) 6月20日

図3 アルゼンチン国旗の変遷

1-3. アルゼンチン国旗の色
 
アルゼンチン国旗の色は空色と白色が使われ、太陽の色は下記 CIELAB(色空間)とパントーンの色見本を使う。

・国旗の上下平行帯 空色
Celeste: L*: 67.27 a*: -6.88 b*: -32.23 C*: -32.95 H*: 257.96
Tolerancia: DE CMC 2:1 : £ 1,0

・国旗中央 太陽  黄金色
Amarillo: L*:74.97 a*:29.22 b*: 81.58 C*: 86.65 H*: 70.30
Tolerancia: DE CMC 2:1 : £ 1,5

・太陽の顔の色  栗色
Castaño: L*: 44.53 a*: 27.16 b*: 22.48 C*: 35.25 H*: 39.62
Tolerancia: DE CMC 2:1 : £ 1,5

・国旗の中央帯 白色
Blanco: Grado de blanco CIELAB
Grado de blanco W mínimo ³ 70 -1 < Tolerancia < +1 アルゼンチン国旗の色の起源

18世紀初め、スペインはブルボン王朝が起こり、国旗の改革が行われ、光家の青色と白色を使うようになった。カトリック両王の娘の夫君であるフェリッペ、美麗王とともにハプスブルグ王朝のブルゴーニュのX型十字を尊重しながらであった。歴史家はマヌエル・ベルグラーノがブルボン王朝の王家の色に感銘を受け、現国旗につながる国旗の色を制定したと言っている。

これらの色は1771年9月19日に制定されたカルロス三世の勲章に使われたリボンの色に相当する。そして専門家たちはその色の起源を1760年にスペイン本国とインディアスの王国の守護聖母であり、『無原罪の御宿り』の絵画に描かれる聖母マリアの白い衣服と空色の腰布から感銘を受けたという。

もうひとつ、アルゼンチン国旗の色と形はラテンアメリカ諸国の独立初期に成立した中央アメリカ連邦の国旗に影響を与えており、現在の中米諸国の国旗にもその影響が残る。

図4 1771年制定された カルロス三世国王の勲章
   リボンは空色と白色、聖母マリア像が見える
出所:http://manuelbelgrano.gov.ar/bandera/la-bandera-los-colores-y-su-simbolismo/

図5 無原罪の御宿りバルトロメ・エステバン・ムリーリョ画
出所:プラド美術館蔵

1-4. アルゼンチン国旗の中の『5月の太陽』
 
アルゼンチン国旗のは顔がある。太陽の顔である。これは1810年スペインからの独立に関係している。1810年5月25日スペインより独立宣言を行った5月革命と言われているが、その5月に由来し、この太陽を「5月の太陽」と呼ぶ。それは インカ帝国の太陽神インディーを表しているという。
1813年アルゼンチンの最初の硬貨の図案だったようだ。

図6 アルゼンチン国旗とウルグアイ国旗に見る五月の太陽

以  上