『島々百景』 宮沢 和史 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『島々百景』 宮沢 和史


沖縄民謡風の『島唄』などのシンガーソングライターにして THE BOOM のボーカリスト、ソロシンガーや多国籍バンドで活躍してきた宮沢和史が、ラテン音楽専門誌月刊『ラティーナ』に3年にわたり連載していた国内外の島巡りのエッセイを纏めたもの。

国内は宮古島、南大東島、沖縄本島から津島、北海道の知床、利尻島など、海外はハワイや樺太島、シンガポール、バリ島等に加えて、大西洋のポルトガル領のアソーレス諸島、ブラジル東北部のイタパリカ島、ジャマイカ、キューバと36の島々、および海とは無縁の奈良、著者の生まれ故郷の甲府市が、著者の撮った詩情ある写真とともに綴られている。ブラジル音楽界とも少なからず交流のある著者だけに、「サウダーヂとは」の章ではこの言葉に惹かれ、スペイン語の“Nostalgia”に近いかなと調べ始め、著者の所感を述べているが、それよりも訪れた島々でかならず聞こえてくる「昔は良かった、20年前にくればよかったのに」という言葉に、物質や金銭的価値ではなく、心の中に刻印された故郷への愛と誇りを感じ、先祖を敬う祭事、神事を継承する責任があるが、沖縄にはまだかろうじて遺っている、これを守り抜けばいつか琉球弧の島々はきっと本当の楽園になるとの著者の思いの発露が印象に残る。

〔桜井 敏浩〕

(ラティーナ 2019年7月 167頁 2,500円+税 ISBN978-4-947719-09-6 )