講演会報告「ラテンアメリカでのインフラ・ビジネスのチャンスと課題」(2020.2.6開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告「ラテンアメリカでのインフラ・ビジネスのチャンスと課題」(2020.2.6開催)


【講演会】「ラテンアメリカでのインフラ・ビジネスのチャンスと課題」
【日時】 2020年2月6日(木)15:00~16:30
【会場】 新橋ビジネスフォーラム
【参加者】 55名

ラテンアメリカ諸国への金融面からの貿易・投資支援を行っている〈株〉国際協力銀行(JBIC)の黒石邦典常務取締役、コンサルティングやエンジニアリングを通じてラテンアメリカ地域のインフラ拡充の一翼を担う日本工営〈株〉 の中尾誠前中南米工営社長をお迎きし、ラテンアメリカでのインフラ・ビジネスのチャンスと課題についてお話しを伺いました。講演の内容は以下の通りです。

〈株〉国際協力銀行(JBIC)黒石邦典 常務取締役

  • JBICでは輸出入、投資、事業開発等で世界各国に対する金融支援を行っている。英国での日立の鉄道事業に対する融資のようなPPP(官民連携)に関しては、中南米ではまだ具体的な案件は出ていないのが実情だ。中南米案件は全融資残高の約17%を占め、拠点をニューヨーク・ワシントンに加え、メキシコシティ、リオデジャネイロ、ブエノスアイレスに設けている。
  • 環境関連ファシリティでは、地球環境保全業務(GREEN)を2013年に立ち上げ、2018年にはESG(環境・社会・企業統治)投資という世界的潮流を踏まえ、「質高インフラ環境成長ファシリティ(QI-ESG)」を立ち上げた。これは温室効果ガス等の排出削減や地球環境保全目的に関する案件が対象になる。具体例ではエクアドル政府のエネルギー効率化事業支援がある。
  • 2016年からはインフラ事業支援のための「特別業務」を開始した。アルゼンチンやイラクなど、リスクの大きい国などは通常業務では融資が難しいため、リスク・テイク機能を強化した特別業務で支援している。
  • ブラジルでは1950年代から活動している。2010年以降は環境関連案件が増え、例えば再エネ関連事業をブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)を通じて融資している。汚職問題やダム決壊事故などで低迷していたペトロブラスやバーレも復活してきており、貨物鉄道事業や浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)開発への融資を行っている。
  • アルゼンチンへは特別勘定を使い、鉄道事業や国立銀行(BNA)への融資を行っている。
  • メキシコとの関係も長く、2010年以降はPEMEXや電力、日本の自動車関連企業へ様々な支援を行っている。近年は輸出先が多様化し、メキシコが輸出拠点になる可能性があるためメキシコゲートウェイ構想を掲げ、輸送インフラや港の整備関連の支援を検討したい。

日本工営〈株〉 中尾誠 前中南米工営社長

  • 日本工営は1970年代から中南米地域における業務を開始。2003年にペルーのリマに子会社を設立。2005年に統括事務所をリマからパナマシティに移転した。スタッフ351名のうち日本人はわずか5名。中南米・アフリカにグループ会社が5社、域内拠点は11カ所設けている。
  • 業務の約半数は上下水道関連だが、近年は運輸交通関連が増え約3割を占める。資金ソースはJICAと国際機関で約半数を占めるが、円借款は減ってきており、2018年度は民間約2割、当該国政府が約3割となっている。ペルーの港湾や道路建設、下水処理場建設などのコンセッション案件へ施主側コンサルタントとして積極的に参加している。
  • 中南米諸国の成長率は落ちており現況は厳しい。ブラジルの経済復調に期待しているが、メキシコは新規参入が難しく、ペルーは国内の足の引っ張り合いで停滞、ほかの国も治安や政情不安などマイナス要素が多い。スペインなど欧米コンサルタントとの競合も増え、コスト意識の高まりやスピード重視など、クライアントのサービス品質に対する要求水準も高くなっている。急速な都市化が進み渋滞など都市機能の麻痺といった課題もある。
  • プロジェクト事例ではパナマのモノレール3号線整備、ニカラグアのマナグア市都市開発などがある。中南米諸国の政府のニーズは基礎的サービスから防災などリスク対応にシフトしているため、日本の防災の知見を積極的に売り込んでいきたい。

講演後には、都市化やカントリーリスクへの対応、ペルー国内の具体的なリスク、JBICの特別業務勘定のビジョン、米国の中南米への関心回帰の可能性等について質疑応答が行われた。

会場の様子

黒石JBIC常務

中野前中南米工営社長

講演会配布資料(会員限定)

「日本工営グループの中南米における取り組み」