連載レポート３９：統計に見るラテンアメリカ その3
ジェンダーギャップ指数ランキング Global Gender Gap Report 2020

連載レポート 39

統計に見るラテンアメリカ　その３
ジェンダーギャップ指数ランキング Global Gender Gap Report 2020

執筆者：桜井悌司（ラテンアメリカ協会常務理事）

この調査は、ダボス会議で有名な世界経済フォーラム（WEF,World Economic Forum）が各国のジェンダー平均状況（男女格差）を分析するものである。　２００６年に開始され、今回が１９回目である。調査対象国数は、１５３カ国で、調査項目は、「ジェンダー間の経済的参加度及び貴会」、「教育達成度」、「健康と生存」「政治的エンパワメント」の４項目である。

例年、北欧諸国が上位を占めるが、ラテンアメリカ諸国も相当健闘していることが理解できる。過去５年の推移でみたランク上昇は目覚ましいものである。２０位以上ランクを上げた国をリストアップした国は、下記の表の通りであるが、ウルグアイ、メキシコ、コスタリカ、ジャマイカ、ペルー、トリニダード・トバゴ、ホンジュラス、バハマ、コロンビアである。チリとベネズエラも１０位以上ランクを上げている。

反対に、順位を大きく下げている国は、ドミニカ共和国、エルサルバドルがそれぞれ１８位、エクアドルが１５位である。

表１　ランキング上昇国リスト

日本は、この５年間で、１０１位から１２１位と２０位もランクを下げている。

「男女共同参画」、「女性の管理職登用推進」、「１億総活躍社会の実現」等々、スローガンだけは勇ましいが、ほとんど実績が上がっていない。ラテンアメリカ諸国の多くが、急速に改善している理由は、今後分析する必要があるが、ラテンアメリカ諸国がどのようにして、女性の活躍を支援してきたかを詳細に調査すると、日本の具体的改善方策が出て来るかもしれない。

ラテンアメリカの場合、中流の上以上になるとお手伝いさんを雇用しているケースが多いので、優秀な女性は伸び伸びとして働くことができるのではないかということを指摘する人もいる。日本の場合、優秀な女性が多いので、保育施設を充実させること、女性が伸び伸びと活躍できるように男性が支援したりすること等、環境づくりに最大限の努力が求められる。

表２　２０１９年版　２０１９年１２月１６日発表
Global Gender Gap Report 2020

出所：World economic Forum

表３　２０１５年～２０１９年のラテンアメリカ諸国の順位の推移

出所：World economic Forum