「南米南部徘徊レポート」その7 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

「南米南部徘徊レポート」その7


連載エッセイ47

「南米南部徘徊レポート」その7

執筆者:硯田一弘 (アデイルザス代表取締役、パラグアイ在住)

2月2日発 デング熱エピソード

二月に入っても日本ではコロナウィルスの報道一色といった様相ですが、パラグアイでも疫病のニュースが毎日報じられています。しかし、こちらで問題のウィルスはDengue=デング熱です。実は先週はMario Abudo大統領自らもデング熱に感染したことが報じられました。しかし、症状は軽微だった模様で、治療で快復した後は直ちに全国を飛び回って回復ぶりをアピールしています。

デング熱もマラリアと同じ蚊を媒体とする伝染病(マラリアはハマダラ蚊、デングはヒトスジシマ蚊)で、重篤化すると厄介ですので、蚊に刺されないように注意が必要です。
年末から雨が降り始めたことによって、あちこちに水たまりが出来て、蚊が大量発生しています。新聞やテレビでも、古タイヤやガラクタ置き場などで雨水が溜まっているところを見つけたら、こまめにひっくり返して蚊の発生を防ぐように国民に呼びかけています。

しかし、上の記事によれば、今年のデング熱は過去の記録を上回る勢いで増えているそうで、特に二月Febreroに熱のあるfebrilな症状を呈する患者が 、ピークを迎えると予想しています。

今月は日本の医薬品会社が蚊の撲滅に関する画期的な製品をJICAの支援を受けてパラグアイに紹介してくれることになっています。南米でマラリアとデング熱が無くなると本当に安心ですので、このチームの活躍に期待したいものです。

2月10日発信 リマとニューヨーク訪問

今週は久々にペルーのリマと米国のニューヨークに行ってきました。
ペルー経済は相変わらず好調で、為替レートは駐在していた2012-14年当時と大きくは変わらず現在S.3.3/US$=1ソル約33円、市内のあちこちで建設工事も引き続いて進んでおり、南米経済の牽引車の役割を着実に果たしているという印象を受けました。

偶々乗ったUberの運転手がベネズエラ出身とのことで、リゾート地として有名なMargarita島に家族を残して、ガス井のある東部El Tigreからアルゼンチンを経てペルーに単身乗り込んで運転手として稼いでいるとの事。家族も呼び寄せたいと考えているものの、リマは治安が悪いと信じている奥さんは中々招請に応じないとのことでした。確かに90年代はペルーとコロンビアは南米でも最悪の治安やゲリラ活動で知られており、こうしたイメージを今でも引きずっている人たちがいることは、驚きであるものの、正確な情報の発信が重要であることを痛感しました。

一方、今週LAECOことラ米経済コンサルタント機構が発表した2020年のラ米経済の概観の予測が発表され、パラグアイは平均成長率の3.5倍となる4.2%をマークする、との記事が掲載されました。
https://www.lanacion.com.py/negocios_edicion_impresa/2020/02/07/paraguay-crecera-35-veces-mas-que-latinoamerica-en-este-2020/

この報告では、ペルー・コロンビア・ブラジル・ボリビアといった経済好調のグループよりも更に好調なパラグアイ経済がラ米全体の景気底上げに貢献していると報じています。勿論、地域経済の足を引っ張っているのはベネズエラであり、南米大陸の両極にあるベネズエラとアルゼンチンが全体の足を引っ張っている状況に変わりはありません。

為替レートの低迷で、日本人にとっては高物価が続くニューヨークでは、和食系レストランではラーメン一杯15ドル(1,650円にチップを要求されるので実質2,000円)以上、道端のホットドックでも10ドル近くの値段が付けられているので、以前次男に教えて貰った中華料理屋で12.5ドルのラーメン(チップ不要)を食べてフェイスブックにアップしました。すると、今年からニューヨークの新たな職場で仕事を始めたペルー時代の友人が連絡してきて、夜は彼と久々に旧交を温めることができました。転職直後ということもあって、こちらから連絡することは控えていたのですが、SNSの力に改めて驚かされた一幕でした。

2月15日発信 イタイプ―発電所での式典

ブラジルとパラグアイの国境にあるイタイプ発電所で、この金曜日に歴史的な祭り典が開催されました。
https://www.americaeconomia.com/negocios-industrias/hidroelectrica-itaipu-alcanza-2700m-de-mwh-la-mayor-produccion-mundial-de

1984年の創業以来の総発電量が27億MWhに達したということ。

これがどういう数字かピンとこないと思いますから解説しますと、イタイプ水力発電ダムは14千MWの発電能力を持ち、能力的には中国の三峡ダムに劣後するものの、水量が不安定で発電量が安定しない三峡と比べ、毎年コンスタントに1億Mwh近い電力を供給し続ける実質世界一の発電所と言えます。
https://es.wikipedia.org/wiki/Represa_de_Itaip%C3%BA

パラグアイにはアルゼンチンとの国境に3200MWの能力を持つYacyretaダムもあり、これらの電力はブラジルとアルゼンチンに輸出されているので、クリーンエネルギーである水力電力の輸出量世界一、大気汚染の少ない清潔なエネルギーの供給国パラグアイ、未来の産業にもってこいの投資先です。

2月23日発信  パラグアイで猛威をふるうデング熱

武漢発の新型コロナ肺炎がアジアだけでなく世界を震撼させていますが、パラグアイでは蚊を媒体とするDengue=デング熱が首都アスンシオンを中心に猛威を振るっています。
患者が蚊に刺されると、その蚊を通じて別の人に感染するので、患者は蚊帳で隔離されています。こうすれば、二次感染は防げます。

デング熱は南米だけでなく、アジア諸国やアフリカでも発生している疫病です。新型コロナばかりに話題が集中していますが、東南アジアではデング熱も現在進行形の流行病として問題視されています。また、蚊を媒体とすることから、真冬の日本では発生の懸念はないものの、季節が変われば日本でも発生の懸念はあります。

幸いにもパラグアイには日本の技術でデング熱を防ぐ取り組みが開始されています。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/546747/

2月23日発信 建築ブームが続くアスンシオン

今週は教育関係や建築関係のお客様も来られましたが、アスンシオン市内の建設ブームが続いていることに驚いていました。拙宅の屋上から見える範囲でも、米国大使館やトヨトシ本社の建替工事を含め、10基以上のタワークレーンが運用されています。景気のバロメーターと言われるタワークレーンが林立するパラグアイ、デング熱は日本の技術で抑え込み、建設の流行が今後も続くと益々住み易くなるでしょう。

3月1日発 コロナウイルス、デング熱、大統領のチャコ地方視察

反応が激化するコロナウィルス問題、パラグアイでも空港でサーモセンサーを導入しています。

今のところ発症例は報告されていませんし、先週流布されたガセネタと言われる情報では熱に弱いそうなので、真夏のパラグアイでは感染が広まらないことを祈ります。(今年の夏は涼しいので大変助かっていますが。)

ところで、一か月前にデング熱で入院したマリオ ベニテス大統領はチャコ地方に視察に出かけ、この地方の開発強化に向けた政策を指示しました。

実は大統領、この一か月間何度もチャコ地方の各地を訪問しており、今朝6時半頃に彼を乗せたヘリコプターが官邸から我が家上空経由西空に飛んでゆくのを見て、土曜日にどこに出掛けたのか 不思議に思っていましたが、報道によると、今日はLoma Plata方面に出向かれたようです。筆者も今週一か月ぶりにMariscal Estigarribiaに出掛けましたが、この一か月で道路補修が劇的に進んでおり、どこの国でも偉い人が出向く先のインフラが整えられるのは同じと感じた一方で、現大統領の西武開拓への強い意欲を目の当たりして、改めてチャコ開発の可能性の大きさを確信した次第です。