1996年アトランタ・オリンピックでは、18年ぶりの出場権を獲得し本大会初戦でU-23ブラジル代表を1:0で下す世紀の番狂わせを実現し“マイアミの奇跡”と言われたが、西野朗監督の下で善戦したものの日本代表は得失点差でグループ3位に終わった。ここでも「決定力」不足という日本チームの課題であることが、あらためて浮き彫りになった。
この決定力不足以外にも、日本サッカーは南米に学ぶべきことが多い。どんな時にも得点を挙げる力を、南米での選手の育成、試合の中での動き、戦術、ストライカーに特化したトレーニング、ストライカーの条件等々を、“マイアミの奇跡”時 の日本代表FWの時の一員であり、10年にわたる現役時代はJ1、ウルグアイ、クロアチア、スイスリーグなど12のチームでプレイし、現役引退後はサッカースクールの経営、解説者、監督として活動してきた著者が、南米等で活躍するストライカーの実見とプレイ経験から終章で「日本人ストライカー育成への提言」を纏めてサッカー少年に熱く語る。
〔桜井 敏浩〕
(岩波書店(ジュニア新書) 2019年9月 174頁 800円+税 ISBN978-4-00-500904-6 )