グアテマラ映画『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

グアテマラ映画『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』


原題:La Llorona
監督・脚本:ハイロ・ブスタマンテ(『火の山のマリア』)
出演:マリア・メルセデス・コロイ、マルガリタ・ケネフィック、 サブリナ・デ・ラ・ホス、フリオ・ディアス
2018年/グアテマラ/97分/配給:ギャガ GAGA★
7月10日(金)よりシネマカリテほか全国にて順次公開
https://gaga.ne.jp/lallorona/

 「泣いたら、殺す」という言葉と共に、母親と子どもたちはグアテマラ軍の兵士に殺害された―。大勢の犠牲者を出したグアテマラの軍事政権による大虐殺から30年が経ち、当時将軍だったエンリケは虐殺を指揮した容疑で裁判にかけられるが、証拠不十分として無罪となる。国民が糾弾する中、家族と共に屋敷に戻ったエンリケの耳にその夜から不思議な泣き声が聞こえるようになる。ある日新しいメイドのアルマがやってくる。若く美しいアルマは家族に受け入れられ屋敷で働き始めるが、やがて彼女の周囲で奇妙なことが起き始める。

 1960年から36年もの長きにわたったグアテマラの内戦は25万人の死者を出したと言われる。その中でも第26代大統領ホセ・エフライン・リオス・モントが統治した1981年~83年は、グアテマラの歴史上最も血塗られた恐怖の時代であった。大統領の指揮のもと、大勢が政府軍により殺害、または行方不明となった。ハイロ・ブスタマンテ監督はその重い歴史を受け止めながら、中南米で広く伝わる怪奇伝説〈ラ・ヨローナ〉を取り入れ、悲劇に彩られた歴史と幻想的な世界観を現代の恐怖の物語として恐ろしくも美しい映像で生み出した。