原書名は“THE WORLD ATLAS OF COFFEE From Beans to Brewing-Coffees Explored, Explained and Enjoyed”とあるように、コーヒーの種類、植物としての木、チェリー(実)、品種、収穫、精製から取り引き、飲用の歴史から始まり、コーヒーの焙煎、豆の買い方と保存方法、ティスティング、挽き方、抽出の水、エスプレッソとそれをベースにした飲料、抽出器の数々などの基本的な情報を前半の120頁で写真とともに解説している。後半は「世界のコーヒー生産地」としてアフリカ9か国、アジア8か国、そして南北アメリカの米国ハワイ州を含めた18か国の産地を、各2~8頁で概況、栽培の歴史、品質とテイスティングノート、生産地域をカラーの写真、地図で丹念に紹介している。巻末に用語集と索引も付けている。本書の195~263頁で取り上げられたラテンアメリカの国は、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、ベネズエラ。
前半もコーヒー好きには興味が尽きない楽しい記述だが、後半で各国のコーヒー主要産地、品種・銘柄、味、生産量、生産地の標高、収穫期、グレードなどを産地・農園レベルまで横断的に一覧でき、コーヒーの専門家にも有用な事典。監修は、スペシャルティコーヒーについての著書もあり、自身も世界各地の産地を回っている丸山珈琲(本社 軽井沢)の丸山健太郎社長。
〔桜井 敏浩〕
(丸山健太郎日本語版監修 日経ナショナル ジオグラフィック社発行 日経BPマーケッティング発売 2020年2月 272頁 4,600円+税 ISBN978-4-86313-465-2 )
〔『ラテンアメリカ時報』 2020年夏号(No.1431)より〕