『PANTANAL パンタナール』 岩合 光昭 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『PANTANAL パンタナール』 岩合 光昭


南米中央部のブラジル、ボリビア、パラグアイに、日本の本州よりやや小さい195千km2の世界最大級の湿原には、約300種の哺乳類、約1,000種の鳥類、約480種のは虫類、約400種の魚類など多様な生物が生息し、ラムサール条約の登録地になっている。南米の百獣の王ジャガー、大きなネズミ科のカビバラ、オオカワウソはじめ多種多様の陸上・水棲動物の逞しい生き様は、50年の間世界各地で撮影してきた動物写真家が、パンタナールに3年半通い撮った写真は、念願のジャガーがパラグアイ・カイマン(鰐)を襲う瞬間、おっとりとして見えるカピバラの群れが敵を警戒した時の俊敏な待避行動、美しいオーム類が木の実を啄み、アリクイや鰐の捕食などなど、120点余の実に迫力と臨場感のあるカラー写真は圧巻である。撮影日記とも言えるエッセイと各写真の簡単な説明も付いており、2012年からNHK BSプレミアムで「世界ネコ歩き」で人気がある写真家の“本業”とも言える野生動物写真集。

〔桜井 敏浩〕

(クレヴィス 2020年4月 168頁 3,000円+税 ISBN978-4-909532-40-4 )