『とうがらしの世界』 松島 憲一 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『とうがらしの世界』  松島 憲一 


南米アンデス起源のトウガラシは、コロンブスによって欧州に持ち込まれ、そこからアフリカ、アジアへ向かい、最終目的地の日本へと地球を東回りに広がった。トウガラシには、標高の高い地域に分布しているロコトをはじめ、ユカタン半島のハバネロ、日本でも「鷹の爪」など多くの種類があり、辛さもさまざまである。

第一部「知っておきたいトウガラシの基礎知識」では、日本到来の事始め、食用トウガラシの起源と種類、トウガラシ毎の辛みの差異、機能性食品としてのトウガラシ、第二部「世界一周トウガラシ紀行」では、故郷である中南米から欧州に渡っていろいろな郷土料理が出来、アフリカ、南アジア、東アジアで使われる種類と実に豊富な料理を、最後に「実は豊かな日本の唐辛子文化」を紹介している。

ペルーで好まれている料理「ロコト・レジェーノ」、かつて世界一辛いとギネスブックで認定されたハバネロを選抜改良が加えられた「レッド・サヴィナ」など激辛選手権、同じ中米原産のチョコレートとの関係など、トウガラシをめぐって、歴史、科学、食文化の面からその多様な世界を紹介している。

〔桜井 敏浩〕

(講談社(選書メチェ) 2020年7月 546頁 1,700円+税 ISBN978-4-06-520292-0 )