オンライン講演会報告 『ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社 (2020.10.02開催) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

オンライン講演会報告 『ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社 (2020.10.02開催)


【演題】 「ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社』」
【講演者】株式会社アルム 坂野 哲平 代表取締役・CEO
     データセクション株式会社 平本 義人 取締役兼 COO
【日時】 2020年10月2日(金)14:00~15:30
【オンライン講演会(ZOOMミーティング)】
【ZOOM参加者】43名

アルム 坂野 哲平 代表取締役・CEO とデータセクション株式会社 平本 義人 取締役兼 COOに「ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社」と題して、ラテンアメリカで展開する新進気鋭のICT企業2社のトップにより、ラテンアメリカを取っ掛かりとしながら世界を見据えたグローバルな視点に立つスピード感ある事業展開ついてご講演いただきました。講演の要旨は以下の通りです。

 ラテンアメリカ協会初の本オンラインセミナーでは、ラテンアメリカで展開する新進気鋭のICT企業2社のトップにより、ラテンアメリカを取っ掛かりとしながらも他の地域をも見据えたグローバルな視点に立つスピード感ある事業展開が紹介された。中でもコロナウイルス対策を含む医療ICTについては、2020年が「医療ICT元年」となるだろう、との見方が示された。

アルム 坂野 哲平 代表取締役・CEO

株式会社アルム(Allm)は2001年創業。「すべての医療を支える(All Medical)」を理念とし、2010年より医療関連事業を展開。

  • 脳卒中や心臓疾患について同社が開発した遠隔診断システムアプリ「Join」を用いて、緊急を要する患者の治療までの時間の短縮を図ることが出来る。同アプリは新型コロナの診断にも応用され、関心を呼んでいる。
  • 急性期循環器疾患は世界で最大の死亡原因(年間死亡者数1,600万人)であり、「Join」によって医療情報を病院内、地域内、さらには全国で情報共有することで、「時間との闘い」を克服し、スマホやクラウドの利用によりコストを下げることが出来る。同アプリは保険適用のスマホアプリ第一号となった。
  • 世界で最も水準が高く、効率が良いとみている日本の医療システム(医療ICT‐SDGsモデル)を海外21カ国で展開。南米拠点はサンチアゴとサンパウロ(坂野氏は大学時代チリ大学に留学)。他にメキシコ、ペルー、コロンビアなどで日本政府とのG to Gプロジェクトを展開(IDB、JICA、JETROなどと連携)。台湾、韓国、東南アジア、中東、アフリカでも公的地域医療情報連携を実施。
  • COVID-19については、医療AIプラットフォームを用いて自動診断化をサポート(チリで実施)。脳卒中の自動診断(米国)や認知症AI診断サポート(アジア)も。
  • Withコロナ下で経済活動が再開する中での感染自動診断を行うアプリ「MySOS」と感染対策ソリューション「MyPass」の開発。前者はイベントへの参加希望者が顔写真を撮ることで、参加前に自分の体温や血中酸素濃度を計測、参加の可否の判断を行うことが出来る。後者は、MySOSを用いた感染症対策ソリューションで、濃厚接触者や保健所への連絡、医療機関の受診勧奨まで行うことが出来る。救急アプリMySOSの利用者数は政府による感染者の接触確認アプリ「COCOA」のダウンロード数よりも多い。

データセクション株式会社 平本 義人 取締役兼 COO

  • データセクション株式会社は2000年に創業、ビッグデータの収集、調査、分析を行う。2019年にチリ法人Jach Technology SpA(Jach社)を子会社化。買収と増資によりグローバル展開してきた。南米ではチリの他、コロンビア、ペルー、パナマ、スペインに現法を有する他、アルゼンチン、ウルグアイ、メキシコ、エクアドル、ボリビア、ブラジル他中米各国でサービスを提供。
  • 主な事業内容は、①リテールマーケティング事業、②ソーシャルメディア事業、③AI・システム開発事業の3分野。2015年にⅠの株式会社アルムと資本業務提携。
  • 018年に経営戦略を見直し、経済成長が著しい海外マーケットでの展開を探る。2019年末にリテールマーケティング事業の強化を目的にチリJach社を買収し、一挙に18ヵ国で海外事業を展開することになった。グローバルに戦えるスタートアップの集合体を実現し、株式交換により買収する/されるという関係ではなく、成長するパートナーの獲得が実現した。買収のメリットはスピーディな成長と優秀な経営人材の確保。
  • スタートアップの課題は資金調達であるが、現地は海外からの投資を求めており、政府を含めて協力的であり、魅力的なスタートアップ買収チャンスが増えた。
  • 積極的な資本業務提携としては、、2015年の株式会社Allmとの資本業務提携、2019年の中国のソフトウェア企業iFLYTEK社との業務提携締結などがある。

講演後の質疑応答では、参加者から投資対象国の規制(規制は強くない)、ラテンアメリカの国と組むメリット(言葉が共通であり地域全体での展開が可能)、事業がうまくいった理由など多くの質問が出た。

添付資料は会員限定ですが、非会員の方にも有料(¥1,000)にて一般開放していますので、ラテンアメリカ協会事務局(info@latin-america.jp)までお問合せ下さい。

発表資料

(2020.10.02開催)「ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社』」データセクション株式会社様

(2020.10.02開催)「ラテンアメリカに活動を拡げる日本のICTベンチャー企業2社』」株式会社アルム様