『サッカー批評原論 -ブラジルのホモ・ルーデンス』 今福 龍太 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『サッカー批評原論 -ブラジルのホモ・ルーデンス』  今福 龍太 


文化人類学者にして批評家であり、1980年代にメキシコ、カリブ海、ブラジルなどで調査研究を重ねサッカーやスポーツにも造詣が深いと言われる著者が、ブラジルサッカーを思索の起点として、サッカーそのものがはらむ機知と美学と遊戯性を方法論として、現在の「サッカー」を批評的に論じようとしたもの。サッカーの試合になぞらえて「前半」、ハーフタイムを経て、「後半」で起源、伝搬、儀礼、本能、陶酔の項を立てて論じている。

ドーピングやマラドーナなども出てくるが、ブラジルサッカーの戦術やプレーについての論議を期待して手に取ったら大違いの、難解なスポーツ文化批評論である。

〔桜井 敏浩〕

(コトニ社 2020年9月 239頁 1,900円+税 ISBN978-4-910108-03-2 )