連載エッセイ７８：ラテンアメリカの主要国の国民が居住している 他のラテンアメリカの国々ベスト１０　

連載エッセイ７５

ラテンアメリカの主要国の国民が居住している他のラテンアメリカの国々ベスト１０
（Los 10 paises con mas poblaciones ◎X en la America Latina）

執筆者:桜井　悌司（ラテンアメリカ協会常務理事）

You Tubeの番組を見ていると時折、興味のある番組に出会う。例えば、上記タイトルのスペイン語の番組である。ブラジル人、メキシコ人、アルゼンチン人等が他のラテンアメリカの国々に数多く住んでいるかを数字で紹介したものである。独特のスペイン語の語りで、移住の歴史的背景等を踏まえ解説する。必ずしも数字の出所や正確度、統計を取る基準等は統一されていないが、大まかな傾向を知る上で役に立つと思われる。

第１回目は、「域内国の国民が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国」で、ブラジル人、メキシコ人、コロンビア人、アルゼンチン人、ぺルー人、ベネズエラ人、チリ人、キューバ人、ボリビア人がどのラテンアメリカの国に居住しているかを数字で紹介する。来月の第２回目は、「域外国の国民が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国」で、スペイン人、イタリア人、ドイツ人、アメリカ人、ロシア人、アラブ系人、ユダヤ人、日本人、中国人、韓国人が多く住んでいるラテンアメリカの国を紹介する。

簡単な解説のみ加えるが、数字を見ていると、興味あることが多数出て来るので、読者も想像を働かせていただきたい。

１．域内国の国民が多数住んでいるラテンアメリカの国ベスト１０

１）ブラジル人が多数住んでいるラテンアメリカの国ベスト１０

ブラジル人が多数住んでいる国は、下記の表の通りであるが、１位は圧倒的にパラグアイで、以下、アルゼンチン、コロンビア、ベネズエラ、ボリビア、チリ等で、隣接した国に多数のブラジル人が居住していることがわかる。

２）メキシコ人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

メキシコ人の場合、海外で居住している人口は、比較的少ない。１万人を超えるのはグアテマラとボリビアだけである。以下。チリ、コスタリカ、パナマ、ペルーと続くが、全て数千人単位である。

３）コロンビア人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

コロンビアは、伝統的に優秀な人材の輸出国であり、近隣諸国を中心に多数の人材を派遣して来た。１位は、圧倒的にベネズエラで、以下、エクアドル、チリ、パナマまでが１０万人以上、その後、アルゼンチン、コスタリカ、ペルー、メキシコ、ブラジルと続く。

４）アルゼンチン人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

アルゼンチンは、経済状況が農産品の輸出に影響されるため不安定である。チリとパラグアイでの居住が圧倒的で、近隣国のボリビア、ブラジル、ウルグアイと続く。遠く離れたメキシコにも多数のアルゼンチン人が居住しているのは興味のあることである。

５）ペルー人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

ペルー人は、出稼ぎに出かけることが多く、ラテンアメリカでは、チリとブラジルが抜きん出て多い。他に１万人を超える国は、ベネズエラ、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ボリビアと続く。日本にもブラジルの日系人には及ばないが、たくさん居住している。

６）ベネズエラ人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

ベネズエラは、チャベス大統領の後を継いだマドウロ大統領の元、経済制裁や経済不振のため、４００万人と言われる国外脱出者が出た。ベネズエラに移住した各国の居住者も続々国外に脱出している。この数字は、総じて２０１９年のものである。隣国のコロンビアが最大で、以下、ペルー、チリ、エクアドル、ブラジル、アルゼンチン、パナマ、ドミニカ共和国までが１０万以上である。

７）チリ人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

チリ人は、教育水準が高いので、頭脳労働者として、ラテンアメリカ諸国に共住しているケースが多い。国別にみると、隣国アルゼンチンが最も多く、２０万人を超えている。以下、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、メキシコと続く。

８）キューバ人が多数住んでいるラテンアメリカの１０の国

キューバ人は、昔は革命の輸出、その後医療関係の専門家の派遣が多かった。

現在の数字をみると、１万人を超えている国は、メキシコ、チリ、プエルト・リコ、ベネズエラ、コスタリカとなっている。ブラジルには、ジルマ政権の時には多数派遣していたが、ボウソナロ政権になってからは減少した。

９）ボリビア人が多数住んでいるラテンアメリカの７つの国

ボリビアは、南米でも最貧国のひとつである。近隣諸国であるアルゼンチン、チリ、ブラジル、ペルーに集中している。

以　　　上