【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】「新憲法制定の是非を問うチリ国民投票:その結果と今後の展望」桑山幹夫 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】「新憲法制定の是非を問うチリ国民投票:その結果と今後の展望」桑山幹夫


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題目

【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】
「新憲法制定の是非を問うチリ国民投票:その結果と今後の展望」桑山幹夫

要旨

新憲法制定の是非を問う国民投票がコロナ禍の影響で当初の予定から6か月間延期されていたが、この2020年10月25日にチリ全土で実施された。

今回の投票では、① 新憲法制定の是非、② 制憲議会の形式について、の2点が国民に問われた。新憲法制定への「賛成」票が78%で圧勝した。また、国会議員と民間の代表者から50%ずつ選出する混合議員制をしりぞけて、100%民間から選出する制憲議員制が79%の票を得て採決された。新憲法の起草プロセスに直接関与できるよう多くの国民が要求したことになる。

ピノチェット軍事政権により制定された1980年憲法は民政移管後に30回以上にわたり改正されてきたが、「経済的自由主義」で「制限的民主主義」的な要素が多く残っており、経済社会格差が広がる実情は、「ピノチェット憲法」に起因するところが大きいとの見方が強い。

本レポートは、国民投票の結果を精査したうえで、1980年憲法の非正統性、民政移管後の憲法改正に関する動き、今回の国民投票の意義について論考する。2021年4月から始まる予定の制憲議会の起草プロセスが地方選挙や大統領選挙に与える影響についても考察する。

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