『熱帯の真実』 カエターノ・ヴェローゾ - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『熱帯の真実』 カエターノ・ヴェローゾ


1942年にブラジルのバイア州で生まれ、1960年代にポピュラー音楽運動トロピカリズモ・ムーヴメントの先頭に立ったが、軍政時代はロンドンで亡命生活を経て1970年代にブラジルに戻り、ジルベルト・ジル(ボサノバ シンガーソングライター)、ガル・コスタ(歌手)、実妹のマリア・ベターニアとドッセス・バールバロスを結成し、数々のライブ、編集盤を出し現在も活発に音楽活動を続けている著者による個人的な回顧録の形を取ったノンフィクション文学だが、1960、70年代のトロピカリズモを中心にブラジルという国、国民、文化について縦横に論じている。

巻末に、訳者、音楽・放送プロデューサーの中原 仁氏、日本ブラジル中央協会報『ブラジル特報』編集人の岸和田 仁氏による懇切な解説と本文中に登場する人名・グループ名の人名索引が付されている。

〔桜井 敏浩〕

(国安真奈訳 アルテスパブリッシング 2020年9月 544頁 4,200円+税 ISBN978-4-86559-218-4)