タンパク質、炭水化物、食物繊維を豊富に含み、肥料3要素の一つ窒素を大気中から取り込んで土中に固定させるマメ科植物は、すべての人類への最大の贈り物であり、9000年前から全世界地域を問わず広く食材として使われてきた。本書は、「豆という植物」から火と料理の発見、農業革命により生産が拡大した「豆のはじまり」、ローマ時代の豆の嗜好、新世界から“コロンブスの交換”としてピーナッツ、いんげん豆等が、逆にひよこ豆が小麦やサトウキビなどが持ち込まれた「豆の文化」と「豆にまつわる伝承と文学」、「豆の料理」例として新大陸からは豆がベースとなったブラジルの国民料理フェジョアーダ、同じく北東部バイア州のスナック黒目豆のフリッターのアカラジェが紹介されているが共にアフリカから来た人たちと関係がある。「豆の未来」は変わる農業、大豆の変貌、遺伝子組み換えなどにも触れ、あと数年で80億人に達する地球上の人口のために持続性を必要とする大地との繫がりを保つために食用豆の大事なことを指摘している。巻末には歴史上と現代の世界各地の豆料理のレシピも載せている。
〔桜井 敏浩〕
(竹田円訳 原書房 2020年10月 189頁 2,200円+税 ISBN978-4-562-05854-9 )