『メキシコ経済の基礎知識 (第3版)』 中畑 貴雄 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メキシコ経済の基礎知識 (第3版)』 中畑 貴雄 


メキシコは米国、カナダとNAFTA(2020年7月に改組されたUSMCAが発効)もあり、巨大な北米市場に直結しているところから特に自動車産業が発展、日本企業も自動車関連を中心に1,200社が進出している。2018年の大統領選挙で新興左派のAMLO政権が発足し、ネオリベラリズム下で取り残された低所得層、社会的弱者の支援、救済を目指した「第4次改革(4T)」と名付けられた分配政策を開始した。低成長下での福祉政策強化のための徹底的な財政収支均衡を保つための連邦行政の削減により行政鉄続きの遅延、そのための経済成長は犠牲にされ、内外企業家は投資を控えている。

メキシコ経済の構造、変化する消費市場、米州全域に向け生産拠点として成長した輸出産業、米州からアジア太平洋に重点を移す通商政策、経済成長を加速させるための課題を平易に解説しているが、同時にメキシコへのビジネスアプローチに必要な実務知識、お役立ち情報源を付している。良い点、悪い点も含めた現実を紹介しており、メキシコ・ビジネスを行うために適切な参考書であることは版を重ねても変わらない。

本書は、2010年3月に発行された初版 https://latin-america.jp/archives/5760 、2014年の第2版に次ぐ新版で、近年のロペス・オブラドール(AMLO)政権発足後1年までを網羅した増補改訂版。著者は2006~12年にメキシコ事務所に在勤し2018年からメキシコ事務所に在勤、現在は次長を務めているメキシコ経済のエキスパート。

〔桜井 敏浩〕

(ジェトロ(日本貿易振興機構) 2010年3月 294頁 2,900円+税。 オンデマンド版なので、申し込みは https://www.jetro.go.jp/publications/ の「出版物」から)