『メソアメリカ文明ゼミナール』 伊藤 伸幸監修 嘉幡 茂・村上 達也編  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メソアメリカ文明ゼミナール』 伊藤 伸幸監修 嘉幡 茂・村上 達也編 


メキシコから中米エルサルバドル、ニカラグアに至るまで広がったメソアメリカの古代文明については、これまでの解説書は著者の専門分野・地域は詳しく解説しても、その他の地域は大略しか記述していなかったのに対して、本書は9名の研究者が専門的かつ基礎的な知識ばかりでなく現在の考古学界の動向に至るまで網羅した総合的な概説書になっており、メソアメリカ古代文明に関心をもつ読者にとって大いに有用な文献である。
「第1部 古代メソアメリカ文明の出現背景」は氷期に遡る最初のアメリカ人の出現とその拡散、狩猟採集社会から定住社会への移行と古代メソアメリカ文明とは何かを、「第2部 古代メソアメリカの歴史」はメキシコ湾岸、中央高原文化(テオティワカンからトルテカ、アステカ)とマヤ文化、そして南東部太平洋側文化(カミナルフユ、ホヤ・デ・セレン等)、オアハカ(サポテカとミシュテカ)、メキシコ西部と北西部、中央アメリカ文化を、「第3部 メソアメリカ考古学と隣接科学」では形質人類学、民族学・文化人類学、歴史学、碑文学、絵文書学からさらに保存修復科学、博物館学とパブリック考古学、考古科学、動植物学までを、37ものコラムによる平易な解説とともに詳述している。
執筆の監修はメソアメリカ考古学が専門の伊藤伸幸名古屋大学助教。編者は長くメキシコ国立人類学歴史学研究所に在勤した嘉幡茂京都外国語大学嘱託研究員と村上達也テュレーン大学(米国)准教授であり、その他6人の米国、日本、メキシコの大学で研究を続けている日本人研究者が分担、執筆している。

〔桜井 敏浩〕

(勉誠出版 2021年1月 511頁 5,000円+税 ISBN978-4-5852-2296-5)
〔『ラテンアメリカ時報』 2021年春号(No.1434)より〕