『大航海時代 旅と発見の二世紀』  ボイス・ペンローズ | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『大航海時代 旅と発見の二世紀』  ボイス・ペンローズ


1420年からの200年の大航海時代の旅と発見を俯瞰する本書の著者は米国のルネサンス地理学、旅行史を研究していた歴史学教授、原著は1952年に刊行され、本訳書は1985年に同じ版元から出されたものの復刻版。ポルトガルのエンリケ航海王子のアフリカ航路の開拓によるインド、東洋への進出、コロンブスの諸航海を契機に中央アメリカ、メキシコ、ペルー、ヌエバエスパーニャの征服が続き、1500~1600年の南米東部地方、ブラジルとラプラタ流域を占領した。北米では初期の探検が始まり、マジェランとその後続者達が太平洋への海峡とフィリピン群島、南海の島々の発見、北東・北西航路の発見は英国の海外雄飛の基盤となり、さらに奴隷船のパーサーから身を起こしスペインの新大陸からの銀等輸送品を略奪し勇名を馳せたドレイク船長に代表される英国の台頭、東洋進出、北米植民地の草創と、スペイン、ポルトガルによる支配から変化の流れを解説し、加えてルネサンス期の地図学と航海術、造船技術の進歩など、大航海時代を支えた科学的事実とこの時代のポルトガルの発見と制服、スペインの海外事業、欧州大陸諸国やチューダー期英国の膨大な文献の解題を付け加えている。

欧米を世界支配に導いたこの大航海時代を、欧州人による非欧州地域の大発見の時代の世界史の明暗を読者に俯瞰せしめる(巻末のジャーナリスト 伊高浩昭氏の文庫版解説)のとおり、ラテンアメリカ理解の基礎的知識の一つとして必読の書である。

〔桜井 敏浩〕

(荒尾克己訳 筑摩書房(ちくま学芸文庫) 2020年12月 790頁 2,000円+税 ISBN978-4-480-51019-8 )